光吸収に伴って電流が生じる光電流は太陽電池や光検出器などに広く用いられている物理現象である。最近、反転対称性の破れた系では、電子雲がコヒーレントに瞬時に伝搬する「シフト電流」という光電流が、新型太陽電池の基礎になりうると理論が提唱されはじめた。本研究では、フェムト秒パルスレーザー照射による光電流からアンテナ放射される電磁波(テラヘルツ帯)を観測・解析することによって、この量子力学的光電流である「シフト電流」の超高速ダイナミクスやその大きさを評価した。高い光電変換効率が提唱されはじめた物質群を対象に、幅広い励起波長帯でテラヘルツ波発生を観測し、光電流の超高速ダイナミクスを解明した。
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