研究課題/領域番号 |
20K15202
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
伊藤 辰也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 任期付研究員 (20757653)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高レベル放射性廃液 / 廃棄物資源化 / ロジウム / ゲル / 吸着 |
研究実績の概要 |
核燃料再処理に伴い発生する高レベル放射性廃液には、排ガス用触媒等として需要が高く、高価な希少金属であるロジウム(Rh)が含まれており、これを分離回収して資源化することが期待されている。しかし、硝酸水溶液中のRhは従来のような有機層中への抽出や吸着材への吸着は長時間に及ぶため、選択的かつ迅速な分離法は確立されていない。 そこで本研究では、水と相分離しつつも系内に水を許容できる分離媒体として高吸水性ゲルを用い、その一部にRhに親和性の高い構造を組み込むことで選択性を発現させることを着想した。 本年度は、はじめに準備段階として実験装置・器具及び試薬の調達・設置を行った。次に、新規高吸水性Rh吸着ゲルを合成するため、まずRhに親和性の高いチオジグリコールアミド(TDGA)構造を有し、側鎖にアリル基を持った架橋性モノマーを合成した。チオジグリコール酸とアリルアミンを縮合させて目的物を得た。 また、架橋剤に市販のN-N'-メチレンビスアクリルアミドを用いて基本的な高吸水性ゲル(ポリアクリル酸Na)の合成方法を確認するとともに、有機層に水層を分散させる逆相懸濁重合による粒子状ゲルの合成方法を確認した。 それをもとに、合成した架橋性モノマーを用いて、Rh吸着サイトとしてTDGA構造を有する高吸水性ゲルを合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自身の所属研究機関の変更に伴う研究環境の整備と、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響による物品調達の遅延によって進捗に若干の遅れがあるものの、これまでにゲルの合成方法や評価方法は確立されているため、今後に行う数種類のゲルの合成とRh吸着挙動の取得には大きな支障はないと考えられる。また、引き続き研究協力者の協力を得られるため、体制面においても大きな支障はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに確立した合成方法に基づき、架橋度やモノマーの種類を変化させていくつかのゲルを合成する。そして、合成したゲルについてNMRやFT-IRなどによる同定と含水率測定等のキャラクタリゼーションを行うとともに、硝酸水溶液中におけるRhの吸着速度などの吸着挙動を取得する。それらの評価からRh吸着の最適条件を検討する。
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