研究実績の概要 |
遷移金属元素とウランの化合物であるUM3O10(M=V, Nb, Ta)については結晶構造に関する知見も少なく、ウランの原子価についても不明な部分が多い。本研究で は高純度のM3O10(M=V, Nb, Ta)を合成したうえで、構造を明らかにするとともに、ウランの価数をMIV端XANESスペクトルから評価する。ここから、5価ウラン化 合物の生成メカニズムを明らかにすることを目指す。令和2年度に合成したウラン酸化物と遷移金属である、UM3O10(M=V, Nb, Ta)のMIV吸収端におけるXAFS測定を行うため、令和3年度はその準備として真空チャンバーの作成を行っている。核燃料物質の使用に関する規制上、MIV端を利用した原子価の評価が困難な場合に備え、他の2種類のアプローチによる原子価の評価手法を進めている。一つ目はUのLIII吸収端における高分解能XANES(HERFD-XANES)である。HERFD-XAFSを用いて5価ウラン化合物であるFeUO4の測定を行い、原子価評価の有効性を確認した。二つ目はXPSを用いた評価であり、標準試料としてUO2、U3O7、U3O8、UO3をそれぞれ分析し、原子価の評価を行うことができた。令和4年度は真空チャンバーを用いてUのMIV吸収端におけるXAFS分析と、HERFD-XANES及びXPSを用いた分析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作成した真空チャンバーを用いてを用いてUM3O10(M=V, Nb, Ta)のU-MIV吸収端におけるXAFS測定を実施することを目指す。また並行してHERFD-XANESやXPSを用いてUM3O10(M=V, Nb, Ta)の原子価評価を行い、複数の分析から多角的な評価を行うことでより信頼性の高いデータを得ることを目的とする。これらの分析から得られた結果を基に、5価ウラン化合物の生成メカニズムを明らかにすることを目指す。
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