研究課題/領域番号 |
20K15209
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
墨田 岳大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究員 (50851325)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 金属系燃料デブリ / ホウ素 / 分析 / ステンレス鋼 / 炭化ホウ素 / ジルコニウム / 即発γ線分析 / ICP-OES |
研究実績の概要 |
本研究ではステンレス鋼(SUS)や炭化ホウ素(B4C)、金属ジルコニウム(Zr)を主成分とする「金属系燃料デブリ」中の高濃度ホウ素の簡便かつ高精度な濃度定量法の開発を目的としている。2020年度はホウ素濃度を調製した各種試料の作製および、JRR-3を用いた即発γ線分析のための課題申請を行った。 B4C濃度(1-5 mass%B4C)、試料冷却条件(急冷/徐冷)、SUS鋼種(SUS304/SUS316L)、反応時間等をパラメータとして作製した各種合金試料の、粉末X線回折および元素分析(SEM/EDS/D-SIMS)から、晶出相を同定した。得られた結果を用いて、即発γ線分析およびICP-OESでの分析条件を検討した。すなわちSUS-B4C系ではB4C濃度により晶出相が異なり、B4C濃度が3msaa%未満ではγ-Feと(Cr,Fe)2Bが、B4C濃度が3msaa%以上では(Cr,Fe)23(C,B)6相が第三相として晶出することがわかった。一方Zr-SUS-B4C系では上記に加え、ZrB2相などのホウ化物相が晶出することがわかった。また晶出相の大きさは最大で約100 μm程度であった。 これより、即発γ線分析で当該試料を分析する際には、複数の晶出相に存在するホウ素を検出するために、1試料当たり複数回の測定をすることが必要であること、またICP-OESで当該試料を分析する際には、提案していた試料分解手法が適用可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2020年度中に濃度定量基準用の合金試料(SUS-B4C系)の作製およびその性状分析を完了した。また申請したJRR-3を用いた即発γ線分析のための課題が採択され、2021年度中の分析開始の見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に作成したSUS-B4C系試料を用いて、即発γ線分析及びICP-OESでのホウ素濃度定量を試みる。またこれと並行して、Zr-SUS-B4C系での基準試料の作製と分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に使用予定であったICP-OES用消耗品を研究代表者のグループが所有する備品によって代用することができたため. 次年度に「石英製品」や「試薬」の購入費用として充てる予定である.
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