研究課題/領域番号 |
20K15220
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 雄介 九州大学, 工学研究院, 助教 (20778815)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | サボニウス形 / 小水力発電 / 開水路 |
研究実績の概要 |
農工業用水路等の既存インフラに存在する未利用水力エネルギーの有効活用を目指し,矩形開水路内で発電する小型水車を開発する.本研究がターゲットとする小水力エネルギーの利用は経済的な理由から進んでいないのが現状であるため,本研究では2枚の半円筒状ブレードを互い違いに配置した単純構造のサボニウス形水車を採用した.従来,サボニウス形は垂直軸の抗力型として風車として利用されてきた.本研究では開水路特有の流れである自由表面流れを生かし,水車ランナを流れに垂直で,流路底面に水平に水車軸を設置し,水車性能を評価した. 小水力エネルギーは季節や天候により年間を通して流量変動が顕著であり,特に開水路流れでは水位および流速が刻一刻と変化する.初年度は,この中で水位変化が水車性能へ及ぼす影響を評価するため,水車ランナと自由表面との距離(流路底面との距離)を変化させ水車性能を実験的に調査した.水流の水位は水車ランナの1.33倍,1.5倍および2倍の3条件とし,流速を0.2m/sの条件下で水車トルクおよび角速度を計測し起動特性と出力特性を評価した.また,水車ランナの回転方向についても検討した. 自由表面近傍と流路底面近傍では好適回転方向が異なることを明らかにした.自由表面近傍では流れが左から右に流れる場合,ランナが時計回りとなる回転方向で高い出力係数を得た.どの水位条件でも,自由表面からランナ上端までの距離が水車直径の10%-15%にある場合に最大の出力を得ることを明らかにした.一方,流路底面近傍では,反時計回りとなる回転方向で高い出力係数を得た.また,水位が低いほどブロッケージ率(水車ランナの流路の水流断面積に占める割合)が大きくなるため出力が高くなる.このブロッケージついては次年度に調査する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症による大学内への入構規制があり,実験装置の製作が遅れたため,当初の予定より実験スケジュールでやや遅れが生じている.しかしながら,水車性能を測定する制御装置は完成したため次年度以降で十分に後れを取り戻すことができると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
流速の違いが与える影響,およびブロッケージ率の影響を各流況下で調査し,水車ランナの好適設置位置およびランナ直径を見出す.また複数台サボニウス形水車を開水路内に並べて設置した際のそれぞれの相互干渉や性能に与える影響を調査し,マイクログリッド実現の水車設置指針の獲得を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会及び出張がキャンセルおよび延期となり次年度使用額が生じた.次年度に延期された学会(オンライン等腕実施)への参加することで,次年度使用額を使用する予定である.また物品費とうは当初の計画通りに使用する予定である.
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