研究課題
超スマート社会の実現に向けて、様々な環境下において各種センサー駆動のための環境調和型独立電源の技術が求められおり、環境中の「温度差」を活用する熱電発電は適している。申請者は、無次元性能指数ZT > 1を示すCu2ZnSnS4 (CZTS)単結晶の作製に成功している。さらなる熱電特性改善のためには熱伝導率を下げる必要がある。粒界や異相界面によってフォノン散乱を促進し、熱伝導率を下げる方法は積極的に利用されているが同時に電気的特性を下げるためトレードオフの関係となる。本研究では、ZT =1.1を達成している単結晶材料を母材として、独自性のある結晶成長技術から意図的に単結晶中に不規則構造や異相界面を形成し、評価する事で熱電と電気的特性に対して有効な機能性界面を探索する。これによって界面の情報を明らかにし、単結晶中の界面を最適化する事で性能特性向上へアプローチした。CZTS単結晶中の異方性と不規則構造を制御する事で、a軸方向において環境調和した硫化物熱電材料において世界最高値の無次元性能指数ZT=1.6を達成した。本年度は、さらなる熱電特性の改善のために、CZTS単結晶中に異相としてZnSやCu2Sを意図的に作製し、母体と異相の整合性を評価した。結果として熱伝導率10%程度の低減に成功した。一方でバンド不連続量をX線光電子分光法(XPS)から情報を収集し、界面の形状と界面におけるキャリア移動の度合いを判断した結果、電気特性は大きく低減した。そのため本計画で検討した異相は、機能性界面としては不適であると結論付けた。当初の予定より順調に進展しており、研究を加速させるため、機能性粒界に焦点を当てた新たな研究を実施する。
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Journal of Physics and Chemistry of Solids
巻: 171 ページ: 111016~111016
10.1016/j.jpcs.2022.111016
https://www.miyazaki-u.ac.jp/env/