研究課題/領域番号 |
20K15223
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
立花 直樹 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ複合素材開発セクター, 副主任研究員 (60633526)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 触媒 / 空気電池 / 酸素還元反応 / ビーズミル |
研究実績の概要 |
窒素ドープカーボンは優れた酸素還元活性を示すが、ペロブスカイト型酸化物等と組み合わせることでさらに優れた活性を示す。本研究では、酸化物/ナノカーボン触媒のビーズミルを用いたトップダウン製法を確立するために、ビーズが試料に与える分散効果およびダメージを明らかにすること、および触媒微粒子と窒素ドープカーボン担体とを複合したコンポジット触媒の活性および安定性に寄与する因子を明らかにすることの二点を目的とする。 本年度は、金属酸化物と窒素ドープカーボンとの相互作用を促進させるために、まず、小さな金属酸化物を得るためのビーズミル分散条件の検討を行った。これまでペロブスカイト酸化物では検討されていなかった極めて微小なジルコニアビーズ(直径:10マイクロメートル)を用いてミル処理を施したところ、XRD解析によって結晶構造を破壊することなくペロブスカイト酸化物が分散されていることが確認できた。また、触媒と窒素ドープカーボンとの相互作用を明確にするために、担体との接触点が多く相互作用しやすいと考えられるnmオーダーの白金ナノ粒子を窒素ドープカーボン上に担持させたコンポジット触媒を評価した。およそ5 nm以下の白金粒子はそのサイズが小さいほど単位面積当たりの活性(比活性)が低下する傾向を示すことがよく知られているが、合成した白金粒子担持窒素ドープカーボン(平均粒子径:2.99 nm)は白金粒子担持カーボン(3.24 nm)より高い活性を示した。このコンポジット触媒はXPS解析により白金粒子と窒素ドープカーボンとが強く相互作用していることが明らかになった。また、炭素源として用いるカーボンブラックを酸処理することで、得られる窒素ドープカーボンの窒素量を大幅に増加させることができたが、酸処理温度が高すぎる場合は特徴的な細孔構造が破壊されて比表面積および細孔容積が小さくなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、本年度内においてペロブスカイト型酸化物に対するビーズミル処理の最適条件を検討することが課題であったが、結晶にほとんどダメージなく分散させることができることを確認できた。また、来年度以降にコンポジット触媒の活性向上に寄与する因子について検討することを予定していたが、本年度内において白金ナノ粒子触媒と窒素ドープカーボン担体との間に強い触媒-担体相互作用が存在して活性が向上していることを明らかにすることができた。したがって、予定していた内容を上回って遂行することができたため、「(1)当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で、極めて小さなビーズを用いてペロブスカイト型酸化物をミル分散させることができることを確認したが、収量が大幅に減少したため、次年度でビーズ分離方法およびスケールアップを検討する。また、この得られた微細なペロブスカイト型酸化物を窒素ドープカーボン上に担持して得たコンポジット触媒の活性および安定性を評価して寄与する因子を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催となり、予定していた旅費が不要になったため。
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