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2020 年度 実施状況報告書

刺激応答性電子ドナー基を利用した革新的有機蛍光材料の創製

研究課題

研究課題/領域番号 20K15243
研究機関山梨大学

研究代表者

高橋 正樹  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60754330)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード超分子化学 / 蛍光材料
研究実績の概要

本研究の目的は、超分子化学的な相互作用、骨格を利用した機能性蛍光材料を創製することである。今年度は、本研究に関連する研究として、超分子化学の分野で広く用いられているカリックス[4]アレーン骨格にナフチル基を導入した化合物(NC)を新規に合成した。ユニット分子も別途合成し発光特性を調べると、NCは蛍光量子収率の上昇とともに蛍光寿命が10倍以上長くなっていることがわかった。通常、蛍光寿命が長くなると蛍光量子収率は低下する傾向にあるため珍しい現象であることから、蛍光発光速度定数(kf)と無輻射失活速度定数(knr)を求めた。すると、NCはユニット分子と比較してそれぞれが一桁以上低くなっていることが明らかになった。knrの減少は環状骨格による分子運動の低下が無輻射失活過程を抑えたことが原因であると考えられるが、kfの低下の原因がわからず、単結晶X線構造解析を行うと対面するナフタレン骨格同士が重なった構造をしていることがわかった。この構造を基に最低一重項励起状態(S1)のTD-DFT計算を行いLUMOの分子軌道を確認すると対面するナフタレン環が結合性の相互作用をしていることがわかり、HOMO←LUMOの振動子強度がNCの0.0019に対しユニット分子では0.700であることが明らかになった。従って、蛍光寿命が延びているにも関わらず蛍光量子収率が上昇している原因は、励起状態での分子内エキシマー形成による蛍光発光速度の低下を、環構造による無輻射失活速度の低下の度合いが上回ったことであるとわかった。本研究実績が英国化学会の学術誌であるRCS Advances に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナの影響で、他の研究機関の実験設備を利用して実験を進めることが困難になり、その影響もあり研究の進捗は少し遅れている。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で蛍光性ウレア化合物とアセテートの水素結合性相互作用を調べ、各種分光測定を行ったところ、固体状態での蛍光量子収率の違いが見られた。ただ、そのメカニズムなどについては不明な点が多く、今後計算科学的な手法などを組み合わせ明らかにしていく予定である。そのメカニズムを元に新たな機能性分子を合成し、物性を調べることで研究を推進していこうと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で外部機関の測定機の仕様にかかる旅費、学会の旅費などが減ったため。ワクチンの接種などで状況が落ち着いた頃に積極的に学会発表や測定機の利用を行い使用していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A fluorescent calix[4]arene with naphthalene units at the upper rim exhibits long fluorescence emission lifetime without fluorescence quenching2021

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Masaki、Tsuji Naoya、Yazaki Kohei、Sei Yoshihisa、Obata Makoto
    • 雑誌名

      RSC Advances

      巻: 11 ページ: 11651~11654

    • DOI

      10.1039/D1RA01743H

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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