研究実績の概要 |
高収率・高選択的な非対称型Pt錯体の合成法 当初の計画通り、申請者が開発した” Zeise’s dimer を用いた高収率・高選択的な非対称型イミノピロリル白金錯体の合成法”をまとめ、得られた非対称白金錯体が示す結晶化誘起発光現象の内容をまとめた論文がEur. J. Inorg. Chem. に掲載された。(Eur. J. Inorg. Chem. 2020, 3959-3966.) 大環状ヤヌスベルトの合成 2020年度は大環状ヤヌスベルト分子の鍵骨格となる配位子の前駆体2,4,6,8-Tetrahydro-4,8-benzobenzo[1,2-c:4,5-c']dipyrroleの合成法を確立した。当該分子は、一般的なdiels-alder 反応などから合成することは困難であり、簡単な構造ながら未だ報告例がなかった。今後は得られたジピロール体に対し、Vilsmeier-Haack 反応により配位子前駆体を合成し、アミンとのイミン形成により配位子を合成した後、大環状ベルト分子の合成を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
配位子合成の遅延を考慮し、2021年度は我々が合成を達成した2,4,6,8-Tetrahydro-4,8-benzobenzo[1,2-c:4,5-c']dipyrrole を配位子として用いる条件と、既知化合物の配位子を用いる条件の二つのルートで環状ヤヌスベルト合成を行う。 得られた環状ヤヌスベルト化合物の集合特性やゲスト化合物取り込み性能を、単結晶X線構造解析を用いて明らかにする。また燐光発光特性などの光物性について解析する。
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