化学資源の枯渇や化学系廃棄物に対する懸念、またカーボンニュートラル社会に向けた取り組みを背景として、有機化学の分野では、合成手法の合理化による環境負荷の低減が強く求められている。キラルLewis酸は、医薬品や化成品などの迅速合成を可能にする触媒的不斉合成に広く用いられているが、その回収・再使用を可能にするための固定化(不溶化)技術には、活性や不斉環境を維持と金属や配位子の漏出抑制との両立という根本的な課題があった。本研究課題では、煩雑な合成を要する不斉配位子の化学修飾に依らず、活性な金属錯体を固定化する手法について、様々なアプローチから研究を行い、水中特異的な興味深い知見が多数得られた。
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