研究実績の概要 |
本研究では、アミドの合成や加アルコール分解反応に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒の開発を研究目的とし、アルコキシ基で架橋された四核キュバン型卑金属錯体前駆体やマンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドの切断反応について研究を進めてきた。2020年度は、マンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドのエステル化反応に注力し、異種金属二核錯体が同種二核金属錯体よりも高い触媒活性を示すことを見出し、さらに、速度論解析および量子化学計算に基づき、本反応の反応メカニズムを明らかにした。これらの研究は、既に学術論文としてChemistry - A European Journalに報告している(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10735)。また、本報告は安定なアミド結合を容易に切断する反応であり、その反応機構解明を徹底的に行った点が評価され、journalのカバーピクチャーに採用された(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10643、およびChem. Eur. J., 2020, 26, 10647)。また、現在2つの異なる金属を用いた反応として、ニッケルと銅を用いた新たな分子変換反応に着手しており、論文投稿段階にある。
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