研究実績の概要 |
本研究では、二核卑金属錯体触媒の開発を研究目的とし、アルコキシ基で架橋された四核キュバン型卑金属錯体前駆体やマンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドの切断反応について研究を進めてきており、既に学術論文として Chemistry - A European Journalに報告しカバーピクチャーに採用された(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10735; Chem. Eur. J., 2020, 26, 10643; Chem. Eur. J., 2020, 26, 10647)。2021年度は、類似の亜鉛4核金属錯体を用いることで、化学選択的なトランスエステル化が進行することを見出した(Catal. Sci. Technol., 2021, 11, 6975.)。さらに、二核錯体を多核錯体に拡張し、種々の反応の検討路行ったところ、1つの希土類金属と3つのニッケルを含有する異種4核金属錯体が炭素水素結合の空気酸化反応の光触媒として機能することを見出した(Chem. Commun., 2021, 57, 11169.)。また、ニッケル錯体と銅錯体の2つの金属錯体をデュアル触媒とした、高立体選択的な非天然アミノ酸誘導体の合成方法を確立し、学術論文として報告した(ACS Catal., 2021, 11, 6643.)。2021年度に発表した研究成果は投稿した雑誌の中で高く評価されており、すべて、雑誌の表紙や裏表紙を飾るに至った。しかしながら、コロナ禍の影響により、さらなる研究が効率よく進められなかったことから、期限を延長し、2022年度は、異種4核金属錯体を用いた二酸化炭素の変換反応や、ニッケル錯体と銅錯体の2つの金属錯体を触媒とした新たな触媒反応の開発を行う予定である。
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