研究課題/領域番号 |
20K15283
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩田 隆幸 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (00781973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナザロフ反応 / 分子放出反応 / 弱酸 / ジビニルケトン |
研究実績の概要 |
本研究ではナザロフ反応を基盤に、細胞内外の酸性環境で利用可能な「分子放出反応」の開発を目的とする。「分子放出反応」は結合切断に伴って分子が放出される反応であり、その開発は、結合形成反応だけでは達成の難しい新たな分子制御技術(例えば、センシング分子、分子標的薬、ドラッグデリバリーシステムなど)の創製へと繋がる。一方で、既存のプロトン化を分子放出のきっかけとする「分子放出反応」の多くにおいては、酸環境特異性もしくは反応性が低いという課題がある。そこで、本研究では、独自の「アルコール放出型高速ナザロフ反応」を利用することで、これら課題を克服した新たな分子放出反応を開発することを検討する。 一般的なナザロフ反応では塩酸などの強酸を作用させる必要があり、これが分子放出反応へと応用する際の課題であった。これを解決するため、昨年度においては弱酸に応答するナザロフ反応の開発について検討した結果、きわめて低いプロトン濃度においてナザロフ反応が進行する「高活性化ジビニルケトン」を見出した。本年度は、この高活性化ジビニルケトンの反応についてさらに精査したところ、アルコール溶媒中に溶解させるだけでナザロフ反応が進行することを明らかにした。これは「中性ナザロフ反応」であるといえる。さらに、各置換位置における置換基効果について精査したところ、置換基の組み合わせによって反応速度を調整可能なことであることも分かった。今後は、細胞内外の酸性環境で利用可能な分子放出反応となるよう、引き続き検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度見出した高活性化ジビニルケトンの反応性について明らかにし、分子放出反応の開発における初期の課題をほぼ解決した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、見出した高活性化ジビニルケトンを基本骨格として、細胞内外の酸性環境で利用可能な分子放出反応の開発について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、各学会がオンライン開催となったことで、旅費が不要となったため。 次年度使用金は、主に消耗品の購入に用いる。
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