本研究では、様々な医薬品に含まれる含窒素複素環の骨格構築を指向した新規ラジカル環化反応の開発に取り組んだ。まず、所属のWPI-ICReDDの基幹技術である人工力誘起反応法(AFIR法)を用いた量子化学計算により、ターゲット骨格を構築可能な反応経路を調べた。その結果、有望なラジカル反応に加えて、ジフルオロカルベンを含む三成分環化反応も算出された。この三成分反応の生成物であるフッ素化含窒素複素環化合物は、医薬品候補化合物として期待できるが、その構築手法は非常に限られていた。そこで、この計算結果を基に実験での具現化を検討し、ピリジンの脱芳香族化を伴う環化付加反応を開発することに成功した。
|