研究成果の概要 |
本研究では, トリアゾール系カルベンを配位子とする異種二核金属錯体の開発とその触媒機能探索を目的とし研究を進めた. 具体的には, メトキシカルボニル基を有するトリアゾリウム塩に対して, t-BuOKを作用させることでジアニオンを発生させ, これと遷移金属塩とのトランスメタル化を行うことで異種二核金属錯体の合成に取り組んだが, 二核錯体が不安定なためか合成には至らなかった. 一方で, 本研究を進める過程で, トリアゾリウム環が置換したエステルが-50 ℃でもアミンと反応する極めて高い反応性を有することを見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遷移金属触媒による炭素水素結合の直接官能基化はポストクロスカップリングとして近年目覚ましい発展を遂げている. 本研究では, この分子変換の有用性をさらに拡大すべく, 位置選択的な炭素水素結合を官能基化するための新規異種二核金属錯体触媒の開発を目指した. 本研究を通じて, 錯体の不安定性のためか, 異種二核金属錯体の開発には至らなかったが, 異種二核金属錯体の前駆体の調製に成功した. 本研究の成果によって, 異種二核金属錯体の安定性に関する知見が得られ, 今後は適切な金属の組み合わせを検討することで, 異種二核金属錯体の開発を目指す.
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