研究課題/領域番号 |
20K15295
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗山 翔吾 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50850723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ロジウム / ピンサー配位子 / N-ヘテロ環状カルベン |
研究実績の概要 |
有機ロジウム2価錯体の単離においては適切な支持配位子を開発する必要があると考え、新規配位子の開発を行った。設計においては、3座で熱的安定性に優れたピンサー配位子を選択し、ピロールアニオン部位と金属に対し高い結合能を有するN-ヘテロ環状カルベンを導入することとした。検討の結果、N-ヘテロ環状カルベンとしてイミダゾピリジニリデン部位を有するアニオン性CNC型ピンサー配位子を新規に合成することに成功した。合成したCNC型ピンサー配位子のリチウム塩とロジウムカルボニル前駆体との反応で、対応するCNC型ピンサー配位子を有するロジウム1価カルボニル錯体を得ることに成功した。合成した錯体の赤外スペクトルおよび単結晶X線解析によって、新規配位子が電子吸引性かつ剛直な平面構造を有することを明らかにした。この研究成果はZeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、当初の計画通りに新規なピンサー配位子の開発と対応するロジウムカルボニル錯体の合成に成功した。この研究成果はZeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie誌に掲載された。本成果は今後の研究を展開していくにあたり基盤になりうるものである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、引き続き有機ロジウム2価錯体の合成に取り組んでいく。昨年度に合成に成功したCNC型ピンサー配位子を持つロジウム錯体を出発物にして合成を検討する予定である。それに加えて、既に合成に成功しているPNP型ピンサー配位子を持つロジウム2価クロロ錯体の反応性を検討し、対応する有機ロジウム2価錯体の合成を試みていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当年度においてはコロナ禍のため研究活動が大幅に制限されたため、支出が少なかった。今年度においては、昨年度に計画した分も含めた装置・物品の購入を計画している。
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