研究課題
有機ロジウム2価錯体の反応性について知見を得るため、同族であるコバルト錯体について検討を行った。ベンゼン骨格アニオン性PCP型ピンサー配位子を持つコバルト窒素錯体を新規に合成することに成功した。合成したコバルト錯体が窒素分子からのシリルアミン合成反応を常温常圧という温和な条件下で触媒することを見出し、最大で触媒当たり377当量のシリルアミンが生成することを見出した。本コバルト錯体は窒素分子からのシリルアミン生成反応に対して最も活性の高い触媒である。この研究成果はInorganic Chemistry誌に掲載された。次に同じPCP型ピンサー配位子を持つ鉄錯体の検討を行った。その結果、対応する鉄1価および鉄0価の窒素錯体を新規に合成することに成功した。合成した窒素錯体を触媒として、常圧の窒素ガスと還元剤・プロトン源を低温で反応させると、窒素分子の還元反応が進行しアンモニアとヒドラジンの混合物が最大で計約400当量生成した。これは従来の鉄触媒の活性と比較して、最も高い値である。本研究成果は Bulletin of the Chemical Society of Japans誌に掲載された。またレニウム錯体を用いた窒素固定反応の開発も検討した。その結果、ピリジン骨格PNP型ピンサー配位子を持つレニウム窒素錯体を新規に合成することに成功した。合成したレニウム錯体を触媒として、窒素ガスからのアンモニア生成反応が常温・低温で進行することを見出した。さらに同レニウム錯体が窒素分子からのシリルアミン生成に対する触媒として働くことも見出した。この成果はレニウム錯体による温和な反応条件下における初の触媒的窒素固定反応である。この研究成果はAngewandte Chemie International Edition誌に掲載された。
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