研究課題
若手研究
本研究では、ガス分離・貯蔵やイオン伝導等の機能が注目される金属-有機構造体(MOF)のガラス状態がどのように形成されるのか、固体核磁気共鳴分光法(NMR)を用いて研究を行った。新たに合成した2種類のMOFのガラス化のしやすさの差異について、MOFを構成する配位子の分子運動に着目してその原因を解析した。その結果、MOFの配位構造の柔軟性に起因する配位子の運動性が高いほど、ガラス状態を形成しやすいことが明らかとなった。
物理化学
近年発見されたMOFのガラス状態は、これまで結晶として扱われてきたMOFにガラスとしての新たな特性(成形性、透明性など)を付与し、MOFの材料利用の幅を広げると期待されている。一方で、どのような構造や構成要素を持つMOFがガラス化するかについては不明な点が多く、MOFガラスの作製や新規合成の妨げとなっている。本研究で得られた結果は、新規MOFガラスの設計や探索において有用な知見を与えると期待される。