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2022 年度 実施状況報告書

非対称ジアリールエテン配位金(I)錯体によるフォトルミノクロミック結晶の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K15304
研究機関龍谷大学

研究代表者

服部 陽平  龍谷大学, 先端理工学部, 助教 (30843271)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードフォトクロミズム / 蛍光 / 有機化学 / 錯体化学
研究実績の概要

非対称ジアリールエテン配位子の光異性化(フォトクロミズム)と金(I)錯体の結晶構造による発光挙動の変化(ルミノクロミズム)を組み合わせて、光に応答して発光特性が変化するフォトルミノクロミックなジアリールエテン金(I)錯体結晶を開発することが本研究の目的である。そのためには(1)金(I)錯体の発光に干渉しないよう短波長光で異性化を示し、(2)異性化によって形が変わることで配位子場ではなく結晶構造を通して錯体発光に影響を与えるような配位子が必要である。
昨年合成した金(I)イオンへの配位部位としてピリジル基を持つ新規非対称ジオキサゾリルエテンは、溶液に紫外光を照射したところフォトクロミズムを示し、短波長光で異性化を示す(1)の条件を満たした。開環体は強発光性であり閉環体は弱い発光性であった。さらにこの配位子を金(I)錯体と組み合わせたところ、発光性の金(I)錯体の合成に成功した。しかし、金(I)錯体の光異性化率は低く異性化が発光に影響を与えるところまで至らなかったため、配位子の改良を考え、新たな非対称ジオキサゾリルエテン配位子の合成を行ったが、錯体形成後の異性化率の改善には至らなかった。
金(I)以外の発光性金属錯体を合成するために発光性ジアリールエテン二座配位子を開発している。昨年合成した2種は強発光性を示したものの配位子の光異性化率あるいは配位力が低かった。今年度も新たな発光性ジアリールエテン二座配位子を開発し、結晶は得られていないものの比較的良好な光異性化率を示し、異性化により亜鉛への配位の変化が見られた。
新たな研究の方向性として、ジアリールエテンの光異性化で金(I)錯体に配位可能なラジカル配位子の発光挙動が変化する配位子の合成を行おうとしたが、合成が上手くいかず、代わりにアゾベンゼンの光異性化とラジカル配位子の発光を組み合わせた系を合成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

蛍光性ジアリールエテン配位子で金属の配位による光異性化率の低下が起きる問題が解決していない。また、半導体不足のため発光寿命測定装置による分析に不可欠な部品購入が遅れており(令和5年度夏に納入予定)既に合成した発光物質の分析にも少し遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

新たな発光性ジアリールエテン二座配位子はまだ得られたばかりであり、発光・金属配位・結晶性についての分析を行っていく。
アゾベンゼンの光異性化とラジカル配位子の系についても物性の解明を行っていく。
これまでの研究で、多くの新規フォトクロミックジアリールエテンや発光性錯体が得られているが、論文化が進んでいないため翌年度の論文発表を目指し、データ収集の詰めと論文執筆を行う。

次年度使用額が生じた理由

物品費に関しては、半導体不足の影響で発光寿命測定装置の高額部品(浜松ホトニクス社製)の納入に発注から半年以上も時間がかかっており、次年度に納入を行ってもらい支出する予定である。
大学からの助成により予定していた実験機器(実験共通機器)や試薬を購入できたことで支出が浮いている。合成に関して新たな方向性を模索しているため、次年度も試薬や器具を引き続き購入する予定である。
新型コロナウイルス禍による学会のリモート化等により旅費が浮くなどしているが、コロナ禍も収束してきており、次年度はこれまでの様々な研究成果を学会発表及び論文化する必要があるため旅費及びその他の費目も使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] PyBTM ラジカル誘導体のパラ置換基が高効率溶液蛍光特性に与える効果2023

    • 著者名/発表者名
      服部 陽平・北島 稜大・松岡 亮太・草本 哲郎・内田 欣吾
    • 学会等名
      日本化学会第 103 春季年会 2023

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公開日: 2023-12-25  

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