研究課題/領域番号 |
20K15308
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
唐島田 龍之介 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (40783303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異核複核錯体 / ランタニド錯体 / ポリオキソメタレート |
研究実績の概要 |
本研究は,ポリオキソメタレート(POM)を配位子とした多核ランタニド錯体(多核Ln-POM錯体)をイメージングプローブへ応用し,POMがLn錯体のイメージングプローブの配位子として有用であることを明らかにすることが目的である.さらに多核Ln-POM錯体を異核化できればLn間の相互作用(f-f communication)による高機能化(ダウンシフティング,アップコン バージョン,ダウンコンバージョン)や発光イメージング・磁気共鳴イメージング(MRI)のデュアルモーダルなプローブの設計が可能である. 本年度はまず,昨年度見出した,POMとしてケイタングステン酸(SiW10)を用いた2核Ln-POM錯体(Ln2(SiW10)2)のうち,LnとしてEuを用いた錯体について発光特性の詳細を調査した.固体状態と溶液中(アセトニトリル,水溶液)で長寿命発光を示した.一方,錯体としての量子収率は有機配位子のLn錯体と比較して低いが,Eu中心のみの量子収率は高かったことから,POMからEuへのエネルギー移動効率が低いことに起因していたため,Lnを直接励起するf-f communicationには影響が少ないと示唆された.また,加溶媒分解速度定数は小さく,半減期は2.07 hと高い速度論的安定性を明らかにした.その他LnにYbを用いた錯体でもエネルギー移動発光が確認された.MRIへの応用を想定したGd錯体の合成など,他のLn系列の展開が遅れており,特に,異種Lnを有するデュアルモーダル化を目指した異核複核錯体の合成とf-f communicationの調査について大きく遅れており,細胞系への応用など当初の計画からは遅い進捗となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画ではコロナ禍前であったため通常通りの研究活動を想定していたが,コロナ禍による実験などの研究活動の制限があったため,進捗状況として遅れが出ている.
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今後の研究の推進方策 |
Ln系列に対して広く応用を検討する計画であったが,検討するLnの種類を絞ってLn-POM錯体の応用を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究活動が制限され,当初の計画通り研究が進まなかったため,次年度使用額が生じた.研究が後ろ倒しになったため繰越申請を行ったため,次年度研究が進めば当初の予定通り使用額として必要である.
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