研究課題
本研究では、第4族元素のZr、Hf、Rfの臭化物錯形成を調べることを目的としている。2020年度は、ZrとHfのイオン交換を行い、Rfの臭化物錯形成を調べる上でHBr系の陽イオン交換が適していると判断した。ZrとHfの陽イオン交換と陰イオン交換実験を行うため、89Y(d,2n)88ZrとnatLu(d,xn)175Hf反応により、Zr-88とHf-175のRIトレーサーを製造した。製造したRIトレーサーを陰イオン交換分離により、標的から分離し、イオン交換実験に使用した。イオン交換実験はバッチ的手法により行っており、分配係数の振とう時間依存性とHBr濃度依存性を調べた。1-9 M HBrでZrとHfの陰イオン交換を行ったところ、ZrとHf共に陰イオン交換樹脂に吸着しないことがわかった。一方、陽イオン交換では、ZrとHfともに陽イオン交換樹脂に吸着し、その分配係数はHBr濃度によって変化することがわかった。また、Zrを様々なHBr濃度の溶液に溶解させ、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、スペクトルの変化と陽イオン交換挙動が関連していることがわかったため、HBr濃度変化に伴いZrの化学種が変化し、陽イオン交換挙動に表れている可能性が高いことがわかった。また、Rfと同じ条件でZrとHfの実験を行うためのテスト実験として、89Y(d,n)89mZr反応により、短寿命のZr-89m (半減期: 4.18分) を製造し、He/KClガスジェット搬送システムを用いて化学実験室まで搬送、バッチ型固液抽出装置により溶液化とイオン交換を行い、溶液を捕集し、ゲルマニウム半導体検出器でガンマ線測定を行う一連の加速器オンライン実験も行った。
3: やや遅れている
2020年度上期はコロナウイルスの影響で、在宅勤務を余儀なくされていた期間があり、予定よりも本研究に当てられる時間が短くなったことにより、研究進捗が遅れた。
2021年度より、転職により研究環境が変わったため、研究環境を新たに整える必要がある。また、本研究は、加速器を要する施設でしか行うことができない研究もあるため、理化学研究所の客員研究員となることで、加速器や、現在の職場にない分析機器を利用し、研究を進めていく予定である。
コロナウイルスの影響で、研究開始が遅れたため、研究の進捗が遅れ、予定の物品の購入するまで研究が進まなかったため、予定通りの物品購入ができなかったため、物品の購入は2021年度の使用に回すことになった。また、参加を予定していた学会がオンライン開催となったため、旅費を使うことがなかった。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
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