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2020 年度 実施状況報告書

バイオマス光触媒反応における担持金ナノ粒子触媒のプラズモン共鳴と助触媒効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K15322
研究機関山口大学

研究代表者

望月 ちひろ  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80831875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードAuナノ粒子 / 光触媒 / バイオマス
研究実績の概要

光エネルギーを用いて, バイオマスから高機能プラスチック原料がより高効率・低環境負荷で可能となれば持続可能な社会の実現に寄与できる. 本研究では, 非可食性バイオマス由来の5-Hydroxymethylfurfural (HMF)から2,5-diformylfuran (DFF), さらには2,5-Furandicarboxylic acid (FDCA)への選択的酸化反応において, Auナノ粒子-酸化ニオブ(Au/Nb2O5)触媒に光エネルギーを与える事で得られる効果について明らかにすることを目的としている. まず, HMFからDFFへの選択的酸化反応を検討することで, 光触媒能を有する金属酸化物(MOx)のスクリーニングを行った. さらに, 結晶構造の異なるNb2O5を用いることで, 反応に適切なNb2O5の検討を行った. その結果, 酸性MOxに分類されるMOxでHMFからDFFへの選択的酸化反応が確認され, Nb2O5-L, Nb2O5-T, WO3, W-Ti-Oで, それぞれ転嫁率 91%, 48%, 9%, 54%, 選択率 68%, 86%, 47%, 80%を示した. 次に, Auナノ粒子を担持した触媒を用いて, 触媒反応の効率化を検討した. 酸性MOxであるNb2O5には, 従来の析出沈殿法では直径5 nm以下の金ナノ粒子を担持することが困難であったが, チオール保護金クラスターの固定化により, 小さな金ナノ粒子を担持したAu/ Nb2O5の調製が可能になった. よって, この方法を用いて, 光触媒活性を示す金ナノ粒子を担持して, 光触媒反応を行った. その結果, Au/Nb2O5-Tで, 21%の転嫁率, 6%の選択率向上という活性向上が確認された. Auナノ粒子を担持することで, Nb2O5-Tの光触媒能を向上させることが可能であった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本来の目的通り, Nb2O5光触媒にAuを担持することでNb2O5の光触媒能を向上させることに成功した. この調製されたAu/ Nb2O5触媒はHMFからDFFへの選択的酸化反応に適しており, 転化率69%, 選択92%であった. しかし, Auナノ粒子担持によるNb2O5の光触媒能を向上のメカニズムを明らかにするため, 活性向上が確認された触媒の詳細な物性評価と, 更なる触媒のスクリーニングが必要である.

今後の研究の推進方策

Auナノ粒子担持によってNb2O5の活性が向上した理由を明らかにするため, Auナノ粒子担持によって活性向上が確認された触媒のAuナノ粒子形状を透過型電子顕微鏡 (TEM)で観察する. その他, X線結晶構造解析 (XRD)など触媒の物性評価を進めていく. さらに, Au以外の金属(Ag, Cu, In, Pd, Pt, Ru)を担持し, 金属のスクリーニングを行う. これによって, Auナノ粒子がNb2O5に与える影響を明らかにすることで, Auナノ粒子担持光触媒の適切化を図る. また, 適切化された触媒を用いて, 室温での反応が困難であるとされるHMFからFDCAへの選択的酸化反応にも挑戦する.

次年度使用額が生じた理由

装置の購入を予定していたが、研究を実施していくにあたり、試薬など消耗品の購入を優先する必要があるため、予算の使用配分を調整した。旅費に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で参加予定の学会開催が中止になった影響で計画通りに使用しなかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Development of Non-Porous Silica Nanoparticles towards Cancer Photo-Theranostics2021

    • 著者名/発表者名
      C. Mochizuki, J. Nakamura, M. Nakamura
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 9 ページ: 73

    • DOI

      10.3390/biomedicines9010073

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Protein Corona Components of Polyethylene Glycol-conjugated Organosilica Nanoparticles Modulates Macrophage Uptake2021

    • 著者名/発表者名
      H. Kim, D. Roth, Y. Isoe, K. Hayashi, C. Mochizuki, M. Kalkum, M. Nakamura
    • 雑誌名

      Colloids Surf. B

      巻: 199 ページ: 111527

    • DOI

      10.1016/j.colsurfb.2020.111527

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Near-Infrared Fluorescent Thiol-Organosilica Nanoparticles That Are Functionalized with IR-820 and Their Applications for Long-Term Imaging of in Situ Labeled Cells and Depth-Dependent Tumor in Vivo Imaging2020

    • 著者名/発表者名
      M. Nakamura, K. Hayashi, J. Nakamura, C. Mochizuki, T. Murakami, H. Miki, S. Ozaki, M. Abe
    • 雑誌名

      Chem. mater.

      巻: 32 ページ: 7201-7214

    • DOI

      10.1021/acs.chemmater.0c01414

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Elucidation of Active Sites of Gold Nanoparticles on Acidic Ta2O5 Supports for CO Oxidation2020

    • 著者名/発表者名
      M. Lin, C. Mochizuki, B. An, Y. Inomata, T. Ishida, M. Haruta, T. Murayama
    • 雑誌名

      ACS. Catal.

      巻: 10 ページ: 9328-9335

    • DOI

      10.1021/acscatal.0c01966

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ligand Effect of Gold Colloid in the Preparation of Au/Nb2O5 for CO Oxidation2020

    • 著者名/発表者名
      M. Lin, C. Mochizuki, B. An, T. Honma, M. Haruta, T. Ishida, T. Murayama
    • 雑誌名

      J. Catal.

      巻: 389 ページ: 9-18

    • DOI

      10.1016/j.jcat.2020.05.014

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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