研究課題
若手研究
動的な不斉構造を埋め込んだ多孔性材料を開発し、分子吸着過程の解析を通じて新たなメカニズムに基づく分子認識システムの構築に取り組んだ。酵素タンパク質のような生体分子の活性部位は、全方位的かつ揺らぎのある不斉空間であるが故に高い分子認識能力と機能性を発現している。キラル有機配位子の合成を出発点としたボトムアップ設計により、生体分子を想起させるような動的でアシンメトリック空間を金属有機構造体(MOF)内部に再現し、ガス分子吸着材料としてはこれまでにない非対称吸脱着過程の発見に至った。
錯体化学、有機化学
物質の変換・分離・精製プロセスは現代の物質社会を根幹から支えるインフラ技術である。特にエネルギー資源、ポリマー材料、医薬品源薬などといった分子性資源の加工には膨大なエネルギーが必要とされている。高い精度でこれらの分子性資源を吸着できる分子認識場を開発できれば、高効率で低コストな物質変換プロセスの構築が可能となる。本研究は、新たな分子メカニズムに基づく分子認識場の構築手法を提案するものであり、次世代の物質分離技術や物質変換技術の開発に資するものである。