研究課題
本年度は、申請時の研究計画に記載した、ムチン側鎖の糖鎖と相互作用しうるボロン酸部位を合成高分子に組み込むという材料設計のもと、前年度に引き続き①「材料の力学特性のチューニング」、②「分解性の評価」、および③「バイオ医薬品モデルとの相互作用」④「in vitroでの評価」について新たに検討を進めた。特筆すべき成果としては、ムチンとボロン酸含有ポリマーの溶液中での混合により形成されるヒドロゲルについて、ある一定以上のボロン酸導入率の材料では、動物細胞培養用に一般的に使用される血清入培地中でゲルが収縮・硬化することが明らかになった。前年度の結果と合わせると、本材料の設計パラメータであるボロン酸導入率により、細胞培養環境下での材料の分解速度を自在に制御できることを示せたといえる。分解するものについては、in vitroの評価として種々の動物細胞を材料の共存下で培養した。その結果、材料の分解物でコートされた表面上での細胞の増殖に細胞種依存性があることが明らかになった。また、プロバイオティクスの一種である腸内細菌の培養にこの系を適用したところ、ゲル上での細菌の生存と増殖が確認され、人工粘液への応用可能性も示された。これにより、当初予想していた計画の範疇に止まらず、さらなる応用に向けた基盤を確立することができた。得られた研究成果は、研究代表者が国内学会にて発表した。また今年度の成果をまとめた論文をMacromol. Biosci.誌に投稿し、研究期間終了直後に受理された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
ACS Applied Polymer Materials
巻: 4 ページ: 2595~2603
10.1021/acsapm.1c01902
Macromolecular Bioscience
巻: 22 ページ: 2200055~2200055
10.1002/mabi.202200055
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