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2021 年度 実施状況報告書

高分子ミセルコアを反応場とする白金-亜鉛コロイド合成と抗酸化剤としての展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K15346
研究機関東京理科大学

研究代表者

大澤 重仁  東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 助教 (30780663)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードジピコリルアミン / 亜鉛 / 白金 / DNA / ポリプレックス
研究実績の概要

白金ナノコロイドは触媒研究や薬剤開発において注目されている。一方で、白金は貴金属であるため、その使用量を削減する戦略はSDGsの観点からも重要である。本研究では、ポリマー化学に基づき、白金コロイドに亜鉛を定量的に添加する方法を模索し、また白金の単位重量あたりの触媒活性を高めることを目的とする。ジピコリルアミンの配位子に白金、亜鉛が配位した構造を持つ二つのモノマーをランダム共重合することで亜鉛錯体と白金錯体を持つポリマー鎖を複数種合成した。これらは親水性が高く、当初の予定通り、ポリエチレングリコール(PEG)とブロック共重合体を構築して高分子ミセルを作り、金属ナノコロイドとするには臨界ミセル濃度が高く、また数十ナノメートルサイズのミセルを作ることが困難であった。そこで、亜鉛錯体や白金錯体と相互作用するDNAをテンプレートとしてポリプレックスを作ることを考えた。
DNAと亜鉛錯体と白金錯体を種々の比率で持つポリマーを混合したところ、動的光散乱測定より、30 nm 程度の粒子の形成が確認された。これを走査型透過電子顕微鏡で観察したところ、数十 nm 程度の構造体が確認され、また特に重元素によって染色をしなくても構造体が観察されたことから、白金や亜鉛が含まれるポリプレックスであることが示唆された。この構造体部分をエネルギー分散型X線分光法で分析したところ、定量には至らなかったものの、構造体それぞれから白金、亜鉛、またDNA由来のリン酸基のシグナルが観察されたため、これはポリマーとDNAからなるポリプレックスであると考えられる。当初のコンセプト通り、ランダム共重合体を用いることで、白金と亜鉛を持つナノ粒子の形成が達成された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

白金ー亜鉛の粒子化の方法を見直したため。

今後の研究の推進方策

得られた白金ー亜鉛ポリプレックス、また、これを還元したコロイドについて、酸化還元活性、特にラジカル消去能を評価する。具体的には、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH) と言った安定ラジカルとの反応や、過酸化水素の消去能について、白金ー亜鉛の組成依存性を調べる。また白金ー亜鉛ポリプレックス、これを還元したコロイドを細胞と共存させた場合、どの白金ー亜鉛組成のナノ粒子が細胞培養系に過酸化水素を加えたときに細胞生存率を維持できるか評価する。

次年度使用額が生じた理由

よりハイインパクトの雑誌への論文投稿や、またそれに関する学会発表に向けてデータを補完するため、またこれらにかかる費用を支出するため。具体的な用途としては、細胞培養消耗品の購入、論文投稿にかかる英文校正、学会参加費。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Controlled polymerization of metal complex monomers - fabricating random copolymers comprising different metal species and nano-colloids2022

    • 著者名/発表者名
      Osawa Shigehito、Kurokawa Sosuke、Otsuka Hidenori
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 58 ページ: 5273~5276

    • DOI

      10.1039/D1CC07265J

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Accelerated Redox Reaction of Hydrogen Peroxide by Employing Locally Concentrated State of Copper Catalysts on Polymer Chain2021

    • 著者名/発表者名
      Osawa Shigehito、Kitanishi Kenichi、Kiuchi Maho、Shimonaka Motoyuki、Otsuka Hidenori
    • 雑誌名

      Macromolecular Rapid Communications

      巻: 42 ページ: 2100274~2100274

    • DOI

      10.1002/marc.202100274

    • 査読あり
  • [学会発表] Polymer having complexes with different metal species in sidechains as DNA binding macromolecules; Investigation on metal species-dependent function for regulating the gene expression2021

    • 著者名/発表者名
      Shigehito Osawa, Remi Watanabe, Hidenori Otsuka
    • 学会等名
      第70回高分子年次大会
  • [学会発表] 亜鉛錯体とオリゴエチレングリコールを側鎖にもつ高分子鎖と核酸との配位結合からなるPolyplexs の設計及び遺伝子キャリアとしての機能評価2021

    • 著者名/発表者名
      那須会里香、久保明香、渡部玲巳、大澤重仁、大塚英典
    • 学会等名
      第70回高分子年次大会
  • [学会発表] ポリマー側鎖へ導入した銅錯体の局所濃縮効果が促進する酸化還元活性2021

    • 著者名/発表者名
      大澤重仁、北西健一、木内真穂、下仲基之、大塚英典
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 核酸送達を志向した亜鉛錯体とオリゴエチレングリコール鎖を含むメタクリレート共重合体と核酸の配位結合性会合体の設計2021

    • 著者名/発表者名
      那須 会里香・久保 明香・渡部 玲巳・下仲 基之・北西 健一・大澤 重仁・大塚 英典
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ

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公開日: 2022-12-28  

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