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2020 年度 実施状況報告書

フッ化物・酸フッ化物を前駆体とした新規窒化物合成法の開発とその電気化学触媒能

研究課題

研究課題/領域番号 20K15361
研究機関早稲田大学

研究代表者

朝倉 裕介  早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員 (00762006)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード酸フッ化物 / ソルボサーマル反応
研究実績の概要

本研究では、フッ化物・酸フッ化物の合成とその窒化物への転換により、ユニークな窒化物材料を合成し、電気化学触媒としての利用を検討するものである。令和2年度は、MoおよびWを含有した酸フッ化物の液相合成を試みた。
1) MoO3あるいはWO3をNaFをソルボサーマル反応条件下で反応させたところ、NaMoO3FあるいはNa5Mo3O9F5が得られた。有機溶媒の種類・反応温度により結晶の形態・大きさが変化することが示された。MoO3とNaFの反応では、アセトニトリルを溶媒として用いることでロッド状の粒子が、エタノールを溶媒として用いた場合には多面体状の粒子が得られた。また、WO3とNaFの時には、溶媒がメタノール・エタノール・2-プロパノールとなるに従い、粒子サイズが大きくなっていき、2-プロパノールでは切頂八面体型の粒子の形が観察された。これらの合成では、溶媒へのNaFの溶解度が得られる粒子の形態に大きく依存していると考えられた。本研究は、液相中で酸フッ化物の形態を制御できた初めての研究となった。

2) MoO3とKF、RbF、CsFをアセトニトリルに導入し、ソルボサーマル条件下で反応させた。KFあるいはRbFと反応させた場合には、K3MoO3F3およびRb3MoO3F3の合成が確認できた。一方で、CsFと反応した場合には、既報の化合物とは異なるXRDパターンを有する物質が得られた。K3MoO3F3あるいはRb3MoO3F3のXRDパターンと類似しており、Cs3MoO3F3であると考えられた。また、Cs3MoO3F3はメタノール中で処理することで、Cs3Mo2O6F3へと転換することがわかり、従来にはないフッ化物の転換反応を見つけることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

窒化物の前駆体とする酸フッ化物を新規で安全なソルボサーマル反応で合成することに成功しており、初年度の目的を達成できたといえる。加えて、酸フッ化物の液相による転換反応を見出しており、波及効果のある成果であると考えている。以上より、順調に進展しているといる。

今後の研究の推進方策

本年度、本研究で窒化物の前駆体として用いる酸フッ化物の新規ソルボサーマル合成法を開拓することができた。次年度は、得られた酸フッ化物をアンモニア気流下で処理することにより、特徴のある窒化物の合成及びその電気化学触媒能調査に取り組む。また、新規のソルボサーマル合成を開拓することができたので、この合成法のさらなる拡張も目指す。

次年度使用額が生じた理由

本年度、財団による単年度研究助成を受けることができた。共通に利用できる備品に関しては財団による助成から支払い、科研費での支出を抑えたため、残額が発生している。次年度以降の電気化学触媒評価には多量の消耗品が必要になるため、残額はそれらにあてるとともに、新規ソルボサーマル合成法を拡張するための合成器具購入に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of NaMoO3F and Na5W3O9F5 with Morphological Controllability in Non-Aqueous Solvents2020

    • 著者名/発表者名
      Asakura Yusuke、Akahira Tomoyo、Kobayashi Makoto、Osada Minoru、Yin Shu
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 59 ページ: 10707~10716

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.0c01175

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Solvothermal synthesis of potassium, rubidium, and cesium molybdenum oxyfluorides2020

    • 著者名/発表者名
      ASAKURA Yusuke、HASEGAWA Takuya、YIN Shu
    • 雑誌名

      Journal of the Ceramic Society of Japan

      巻: 128 ページ: 1061~1065

    • DOI

      10.2109/jcersj2.20182

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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