研究課題/領域番号 |
20K15367
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤林 将 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 研究員 (30846952)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 分子 / 強誘電体 / トランジスタ / メモリ |
研究実績の概要 |
本研究では、単一分子で強誘電体の様に振舞う「単分子誘電体」を実装したメモリデバイスの実用化を目指している。 IoT産業やビッグデータ活用が進み第4次産業革命が提唱される現代において、膨大なデータ量を格納するために大容量メモリの需要は日々高まっている。しかしながら、強誘電体メモリなどの不揮発性メモリでは、材料の微細化により特性が消失されてしまうため微細化限界が存在しており、半導体・メモリ業界内において解決困難な課題である。この様な背景の中、我々は従来の常識を打ち破り、単一分子で強誘電体の様に振舞う「単分子誘電体」の開発に成功した。この材料は単分子レベルまで微細化しても特性を消失しないため、既存の記録密度限界をおよそ1000倍上回る超大容量分子メモリの創出が期待される。本研究では、「単分子誘電体」を実装したメモリデバイスの実用化に向け、デバイス作製および精密特性評価に取り組む。 初年度である2020年度は、測定システムの立ち上げ、デバイス作製プロセスの考案、およびデバイス開発に取り組んだ。加えて、将来的な単分子レベルまでの微細化を見据えた際に、薄膜内における分子配向を制御する必要があるため、薄膜の配向性業についても重点的に取り組んだ。現在のところ、当初の計画通りに研究を実施できており、特許出願等にも至っている。2021年度は、デバイスの微細化・集積化に取り組み、「単分子誘電体」デバイスの実用化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通りに進んでいる点に加えて、将来的な微細化工程を含めた材料開発、プロセス開発を実施する上で解決すべき課題に既に取り組んでおり、技術的な指針が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
デバイス作製を中心として研究に取り組む。これら成果を併せて、論文、特許として期間中に成果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020度に、デバイス評価用にサブフェムトアンペアを導入する予定であったが、デバイス作製の中で配向制御に顕著な成果が得られたため、計画を一部変更し、温度計等の導入を行った結果、未使用額が生じた。 また、デバイス評価システムを構築する上で、クライオスタットの設置が必要であり、未使用額と併せて、2021年度に同設備の導入に至った。
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