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2020 年度 実施状況報告書

層状化合物を担体とした単原子状金属活性中心を有する高活性電極触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K15374
研究機関東北大学

研究代表者

岩瀬 和至  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90846437)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード二酸化炭素還元 / 層状化合物 / 電極触媒 / 銅 / 不均一触媒
研究実績の概要

本年度は、二酸化炭素還元反応(CO2RR: Carbon dioxide reduction reaction)を進行させる電極触媒の開発を行った。特に、層状複水酸化物(LDH: Layered double hydroxide)に着目した触媒開発を行った。LDHは、二次元シート構造を有する材料であり、金属元素及び酸素原子からなる層と、水分子及び溶液中のアニオン種からなる層から構成される層状化合物である。特に本研究では、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)から成るLDH(Cu-Al/LDH)を既報を参考に合成し、それらをCO2RR触媒として展開した。本年で取り組んだ内容は以下に示す(1)Cu-Al/LDHの合成条件の検討、及び(2)Cu-Al/LDHのCO2RR活性の評価、の2点である。
まず、(1)の概要を示す。Cu-Al/LDHは既報を参考に、炭酸ナトリウム溶液中に金属硝酸塩を滴下することで合成した。合成する際の溶液のpHとその温度を制御して種々のCu-Al/LDHを合成した。合成したサンプルについて、粉末X線回折及び透過型電子顕微鏡による構造解析を行ったところ、合成溶液のpH及びその温度の選択により、シートサイズやその結晶性が異なることを見出した。次に(2)の概要について示す。本研究では、Cu-Al/LDHのCO2RR活性をガス拡散電極により評価した。まず、既報を参考にガス拡散電極を用いた触媒活性の評価系の構築に成功した。そのセットアップを用いて、種々のCu-Al/LDH触媒についてCO2RRの生成物を評価した。その結果、Cu-Al/LDHでは一酸化炭素及びギ酸がCO2RRの主生成物として得られることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

合成のための装置類、及び触媒評価系をセットアップできた。また、既報通りに実際にCu-Al/LDHの合成に成功したほか、ガス拡散電極を用いた測定系の構築を行い、合成した触媒の二酸化炭素還元活性の評価に取り組んだ。また、特に溶液中に含まれる二酸化炭素還元生成物の定量に成功した。以上の点から、現在までの進捗状況は順調であると考えており、本年度の成果を元に次年度更に高活性な触媒開発に取り組む。

今後の研究の推進方策

今後は、合成条件のより詳細な検討によるCu:Alの組成の制御、及びX線構造解析の手法や電子顕微鏡による手法により、触媒の構造のより詳細な解析を行う予定である。また、LDHのシートのエッジサイト、平面上、もしくは欠陥サイトに異種元素のドープを行うことで、CO2RR活性の向上、もしくは生成物選択性の制御を試みる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス問題により、学外での活動が制限されたため、旅費が利用できなかったことに加えて、感染拡大防止の処置として学内での研究活動を行えなかった期間があったことが次年度使用が生じた主な原因である。未使用分は、次年度分の出張費、加えて今後の実験作業を円滑に遂行するための消耗品の追加購入のための費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [国際共同研究] Paul Scherrer Institute(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      Paul Scherrer Institute
  • [雑誌論文] Effect of cobalt speciation and the graphitization of the carbon matrix on the CO2 electroreduction activity of Co/N-doped carbon materials2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki Iwase,* Kathrin Ebner, Justus Diercks, Viktoriia Saveleva, Secil Unsal, Frank Krumeich, Takashi Harada, Itaru Honma, Shuji Nakanishi, Kazuhide Kamiya,* Thomas Schmidt, Juan Herranz*
    • 雑誌名

      ACS Appl. Mater. Interfaces

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1021/acsami.0c21920

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 超臨界水熱合成法を用いたMoS2の構造制御合成とその水素発生活性2021

    • 著者名/発表者名
      高橋 裕紀、岩瀬 和至、中安 祐太、小林 弘明、本間 格
    • 学会等名
      日本化学会第101回春季年会
  • [学会発表] 異なる金属中心の形態を有する金属窒素共ドープ炭素材料の電気化学的二酸化炭素還元能2021

    • 著者名/発表者名
      岩瀬 和至、神谷 和秀、Juan Herranz、Kathrin Ebner、Justus Diercks、原田 隆史、本間 格、中西 周次
    • 学会等名
      日本化学会第101回春季年会(2021)
  • [学会発表] 単一原子金属中心を有する電極触媒における反応メカニズムの第一原理計算による解析2020

    • 著者名/発表者名
      岩瀬 和至
    • 学会等名
      電気化学会東北支部 第33回若手の会
  • [学会発表] 第一遷移金属からなる複合酸化物の合成とその酸素発生反応活性2020

    • 著者名/発表者名
      岩瀬 和至
    • 学会等名
      理研 東北大 第 1 回 連携シンポジウム
  • [学会発表] フッ素ドープペロブスカイト型酸化物の合成とその酸素発生活性2020

    • 著者名/発表者名
      大髙正幹、岩瀬和至、 本間格
    • 学会等名
      電気化学会東北支部 第33回若手の会
  • [学会発表] Cu-Al 系層状複水酸化物からなるCO2 還元電極触媒の開発2020

    • 著者名/発表者名
      平野杜萌、岩瀬和至、本間格
    • 学会等名
      電気化学会東北支部 第33回若手の会

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公開日: 2021-12-27  

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