研究実績の概要 |
層状構造を有するダブルペロブスカイト型酸化物の単結晶を、溶媒移動浮遊帯域溶融法により育成し、組成制御による結晶中Li組成とイオン伝導度との相関を明らかにすることにより、層面内の高いイオン伝導経路を有するリチウムイオン伝導体酸化物単結晶を開発することを目的としている。 最終年度は、チタン酸ランタンリチウムの大口径単結晶の育成条件を検討した。直径 10 mmの単結晶の育成おいて、ハロゲンランプ(500W×4)を用いることで溶融帯を形成することができたが、結晶育成中に原料棒と結晶が接触することがあった。そこで、原料棒と結晶の接触を減らすことを目的とし溶媒の添加量を 1 gから 3 gに増やすことで直径 9 mmの結晶を育成することに成功した。 研究期間全体を通じて、チタン酸ランタンリチウムのバルク単結晶育成について結晶中 Li 濃度を制御するために溶媒組成および原料組成を検討した。溶媒および原料中のLi濃度を増加させることで育成結晶中のLi濃度を増加させることに成功した。そして、イオン伝導度のリチウム濃度依存性を調べ、x = 0.059 のとき、イオン伝導度は最大で 1.75×10-3 S/cmの値を示し、結晶中のLi濃度が増加するに伴いそのイオン伝導度は低下した。さらに、Seed育成により[100]方位および[001]方位の単結晶を育成することに成功し、そのイオン伝導異方性は、σ[100]/σ[001] = 2.5であることが明らかとなった。また、LixLa(1-x)/3Nb1-yTayO3 の新規リチウムイオン伝導体の合成に成功し、x=0.1,y=0.2 のときイオン伝導度は最大で 7.78×10-5S/cmの値を示すことを明らかにした。
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