水素を用いた加熱処理(水素還元処理)は光触媒の高活性化のための有効な手法としてしばしば用いられてきた。しかし,処理に時間を要すること,危険性の高い水素を利用するという課題があった。本研究において誘導加熱処理を光触媒に適用することで迅速かつ安全な還元処理が可能となり,さらには高活性化にも成功したことは学術的・社会的に高い意義をもつ。水分解活性の高性能化という当初の目的は達成できなかったが,「粒子の焼結の抑制」および「半導体光触媒と助触媒との高密着化」による水素生成半反応活性の高活性化を誘導加熱処理によって実現できたことは本手法の有用性を示す結果であり,特筆するに値する。
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