過渡吸収分光を用いて光触媒の光励起キャリアダイナミクスの研究を行った.光触媒粉末表面に多く存在する欠陥が,光励起キャリアの再結合を促進する効果と抑制する効果を合わせもち,どちらが優勢になるかは欠陥の分布によることを示唆する結果を得た.一方,近年報告されている光触媒活性に対する磁場効果の原因を調べるため,試料を電磁石のギャップ間に設置したガスセル中に保持して過渡吸収を測定するための装置を開発した.光励起キャリア寿命の磁場印加の有無による変化を調べたが,今回の測定では有意な違いは見られず,分子が電荷を受け取った後で起こる反応過程の方が光触媒活性の磁場効果の主原因となっている可能性が考えられる.
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