今年度(2021年度)は、申請者が酸化チタンを用いて酸化チタンを用いて、独自に開発してきた可視光応答型光触媒の新奇高活性化手法である、「ドープした金属イオンの原子価状態制御法」を、酸化チタンよりも光生成するホールの酸化力が強い酸化ジルコニウムへの適用を指向して研究を推進させた。具体的には、酸化チタンで最も高い光触媒活性を示した金属イオンドーパントである白金イオンに着目し、昨年度に確立させたゾル-ゲル法に透析操作を導入した新規手法で、白金イオンをドープした酸化ジルコニウムを合成した。 X線回折測定、紫外可視光拡散反射スペクトルの測定を行った結果、白金イオンの酸化ジルコニウムへのドープを確認できた。X線光電子分光測定により、表面近傍では、酸化チタンと同様に、2価の白金と4価の白金を形成しており、複数の原子価状態が発現できることも見出した。この白金イオンをドープした酸化ジルコニウムを用いて、水中における有害で難分解性化合物である4-クロロフェノールの可視光照射下における分解効率により、光触媒活性の評価を行った。その結果、既に報告している白金イオンをドープした酸化チタンの光触媒活性と比較すると半分程度の活性しか示さなかったが、可視光応答性を示す白金イオンをドープした酸化ジルコニウムを初めて創出することができた。
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