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2020 年度 実施状況報告書

光応答性修飾核酸塩基を用いたSNA光ライゲーション法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K15399
研究機関名古屋大学

研究代表者

村山 恵司  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70779595)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード人工核酸 / 光架橋 / SNA / ライゲーション / RNA検出
研究実績の概要

光応答性修飾核酸塩基PVA(8-pyrenylvinyl adenine)の光架橋反応を用いて、鋳型特異的にSNA断片を光で連結させる「SNA光ライゲーション法」を開発することを目指し研究を進めた。
末端にPVAを導入したSNA 2配列を合成し、PVAが向かい合いうように鋳型配列上で二重鎖形成をさせ、光照射を行った結果、PVA同士の光架橋反応が進行し、光ライゲーションに成功した。この設計においては、ライゲーションにより二重鎖が解離し、別の断片が鋳型と二重鎖形成することで、1つの鋳型に対し繰り返し連結反応が進行することを期待していた。しかし、PVA同士の強固なスタッキング相互作用により、鋳型配列非存在下でも非特異的にSNAの連結が起こってしまうことが明らかとなり、鋳型の効果が正確に評価できなかった。
非特異的な光架橋反応を抑制するために、新たな光応答性塩基としてよりスタッキング相互作用が弱いと予測されるNVA(8-naphthylvinyl adenine)を設計・合成した。まずは1本のSNA鎖にNVAを2残基導入して光反応性を評価した結果、PVA同様に光照射によって光架橋反応と二重鎖の解離が起きていることが確認された。さらに別の波長の光照射による架橋開裂反応と二重鎖の再形成も確認された。更にPVAとNVAは、照射する光の波長を制御することで互いに独立して架橋・開裂を行うことができる。この直交性を利用して、2つのSNA/RNA二重鎖の二重鎖形成状態と解離状態・計4状態を光照射によって作り分けることに成功し、新たな光駆動形核酸分子マシンの開発に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

最初の目標であった、PVAを用いたSNA光ライゲーション法の構築には成功した。これを用いた応用に向け、その反応特異性を改善する必要が出てきたため、新たな光応答性核酸塩基NVAの設計を行い、その合成に成功した。光応答性核酸塩基の修飾官能基による光反応性の違いは大きくなく、様々な分子設計が可能であるという知見が新たに得られた。
また、当初の計画にはなかったが、NVAはPVAと異なる波長の光で制御できるという非常に興味深い特徴を活かし、直交性をもつ光駆動形核酸分子マシンの開発に成功し、論文化することができた。
上記の通り、研究は当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

新たに開発したNVAを用いてSNA光ライゲーション法の構築を行う。PVAで実現可能性は確認できているため、NVAに変更することで鋳型配列非存在下での非特異的連結反応が抑制されることを期待する。これを利用し、標的RNAを鋳型としてSNA光ライゲーションを行うことで、1分子のRNAに対して複数のライゲーション産物を生成するシグナル増幅を行う、RNAの高感度検出システムを構築する。また、環状RNAに対してSNA光ライゲーションを行い、環状RNAを軸として環状SNAが連なったポリカテナン構造の作成も試みる。更に、新たな光応答性核酸塩基の合成も行い、修飾官能基と光架橋の反応性との関連性についての知見を深めたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大防止の為、出張ができず旅費が0となった。そのため、次年度に繰り越した。当初の計画時点で翌年度の消耗品分予算が不足気味であったため、そちらに利用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Light-Regulated Liquid?Liquid Phase Separation for Spatiotemporal Protein Recruitment and Cell Aggregation2021

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi Nao、Komachi Takuya、Murayama Keiji、Asanuma Hiroyuki、Maruyama Atsushi、Shimada Naohiko
    • 雑誌名

      ACS Applied Materials & Interfaces

      巻: 13 ページ: 5652~5659

    • DOI

      10.1021/acsami.0c22314

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nonenzymatic polymerase-like template-directed synthesis of acyclic l-threoninol nucleic acid2021

    • 著者名/発表者名
      Murayama Keiji、Okita Hikari、Kuriki Takumi、Asanuma Hiroyuki
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: 804

    • DOI

      10.1038/s41467-021-21128-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dual Crosslinking Photo‐Switches for Orthogonal Photo‐Control of Hybridization Between Serinol Nucleic Acid and RNA2020

    • 著者名/発表者名
      Yamano Yuuhei、Murayama Keiji、Asanuma Hiroyuki
    • 雑誌名

      Chemistry - A European Journal

      巻: 27 ページ: 4599~4604

    • DOI

      10.1002/chem.202003528

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intrastrand backbone-nucleobase interactions stabilize unwound right-handed helical structures of heteroduplexes of L-aTNA/RNA and SNA/RNA2020

    • 著者名/発表者名
      Kamiya Yukiko、Satoh Tadashi、Kodama Atsuji、Suzuki Tatsuya、Murayama Keiji、Kashida Hiromu、Uchiyama Susumu、Kato Koichi、Asanuma Hiroyuki
    • 雑誌名

      Communications Chemistry

      巻: 3 ページ: 156

    • DOI

      10.1038/s42004-020-00400-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Photo-regulated trajectories of gliding microtubules conjugated with DNA2020

    • 著者名/発表者名
      Akter Mousumi、Keya Jakia Jannat、Kabir Arif Md. Rashedul、Asanuma Hiroyuki、Murayama Keiji、Sada Kazuki、Kakugo Akira
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 56 ページ: 7953~7956

    • DOI

      10.1039/d0cc03124k

    • 査読あり
  • [学会発表] L-aTNAを基本構造とする新たな非環状型人工核酸骨格の開発2020

    • 著者名/発表者名
      村山恵司, 飯塚洋平, 横山純也, 浅沼浩之
    • 学会等名
      第69会高分子討論会
  • [学会発表] 非酵素的ケミカルライゲーション法を用いたL-aTNAの配列複製・転写法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      村山恵司, 沖田ひかり, 栗木琢実, 浅沼浩之
    • 学会等名
      第14回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] 人工生命の創製を目指した非環状型人工核酸の開発と鋳型特異的な鎖伸長反応への応用2020

    • 著者名/発表者名
      村山恵司
    • 学会等名
      第174回東海高分子研究会講演会
    • 招待講演
  • [備考] 名古屋大学大学院工学研究科 浅沼研究室 メンバー紹介 村山恵司

    • URL

      http://www.chembio.nagoya-u.ac.jp/labhp/bioanal3/m_murayama.html

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公開日: 2021-12-27  

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