核酸のライゲーション反応は鋳型鎖に二重鎖形成した相補的な断片配列同士を選択的に連結する手法であり、遺伝子組み換えにおいて必須の技術であるだけでなく、核酸構造体の安定化や核酸配列検出への応用も盛んに行われている重要な技術である。本研究では光照射によりライゲーションを行い、ライゲーション後に二重鎖を不安定化させ自発的な二重鎖解離を誘発する全く新しい反応系を設計した。 昨年度新たに設計・合成した光応答性核酸塩基NVAをSNA鎖に導入し、RNA鋳型上でのSNA鎖の光連結反応を試みた。鋳型RNA存在下では光(365nm)照射により、設計通りの連結反応が高効率に進行することを明らかにした。一方で、RNA非存在下でも光反応が進行してしまうことも明らかとなったが、trans-cis異性化と架橋が競合するため反応は遅く、十分に短い照射時間においてはRNA存在下でのみ光ライゲーション反応が進行することを明らかにした。 当初の設計のPVAでは非特異的な架橋が問題となり選択的な光ライゲーション反応を達成できなかったが、本研究で新たに設計したNVAを利用することで高効率なSNA光ライゲーションの実現に成功した。しかし一方で、鋳型RNAを触媒的に使用する当初の設計は実現できなかった。これを達成するためには、架橋産物の二重鎖安定性をより低下させるために、光応答性核酸塩基にさらなる修飾が必要であることが明らかとなった。
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