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2021 年度 実績報告書

ナス科植物に虫害防御応答を選択的に誘導するジャスモン酸類縁体の分子作用機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K15404
研究機関東北大学

研究代表者

加治 拓哉  東北大学, 理学研究科, 助教 (80835520)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードケミカルバイオロジー / 植物ホルモン / タンパク-タンパク間相互作用 / 二次代謝
研究実績の概要

ナス科植物タバコにおいて生長阻害を引き起こすことなく、虫害防御応答を活性化し、ニコチンの蓄積を誘導する一方、アブラナ科のモデル植物シロイヌナズナでは同濃度でジャスモン酸応答活性を示さない特異な生物活性を示すJA-Ile-macrolactone (JILa)に着目し、その作用機構解明に取り組んだ。ナス科のモデル植物としてゲノムが解析されており、種々の変異体が利用できるMicro-Tomを用いて生物活性評価などを行なった。生物活性評価の結果、JILaが生長阻害を引き起こさない一方で、耐虫害活性のあるトマトの特化代謝物トマチンの蓄積を活性化することを見出した。JILaはジャスモン酸イソロイシンの類縁体であるが、実際にトマトの植物抽出物におけるジャスモン酸類の含有量をLC-MS/MSで定量した結果、JILaは検出下限以下であり、ほとんど含まれていなかったことから、内在性の化合物でないことが明らかとなった。JILaによる特異な生物活性発現機構について明らかにするため、JILaについてin-vitroでジャスモン酸共受容体COI1-JAZとの結合活性評価を実施した。その結果、JILaそのものはトマトに13種類存在するCOI1-JAZ共受容体サブタイプのいずれとも結合しないことが明らかとなった。一方で、JILaの加水分解物である12-ヒドロキシ-ジャスモン酸イソロイシン(12OH-JAIle)は13種類の中でも特にJAZ5/6/7/8により選択的に結合することを示唆する結果が得られた。これらの結果は、JILaがトマト植物体内で12OH-JAIleに変換されることで、一部のCOI1-JAZ共受容体サブタイプを選択的に活性化し、結果として生長阻害と防御応答を切り分けていることを強く示唆する。今後さらにトランスクリプトーム解析を含めシグナル伝達など作用機構のさらなる解明を進める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Syntheses of dinor-cis/iso-12-oxo-phytodienoic acid (dn-cis/iso-OPDAs), ancestral jasmonate phytohormones of the bryophyte Marchantia polymorpha L., and their catabolites2021

    • 著者名/発表者名
      J. Wang, H. Sakurai, N. Kato, T. Kaji, M. Ueda
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 11 ページ: 2033

    • DOI

      10.1038/s41598-021-81575-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 12-ヒドロキシ-(3R,7S)-ジャスモン酸イソロイシン異性体のCOI1-JAZ受容体親和性2022

    • 著者名/発表者名
      武藤俊哉、齊藤里菜、加藤信樹、加治拓哉、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会
  • [学会発表] JA-Ile-macrolactone, an artificial regulator of plant hormone response2022

    • 著者名/発表者名
      Rina Saito, Sohei Yamagami, Hiroshi Abe, Takuya Kaji, Yousuke Takaoka, Minoru Ueda
    • 学会等名
      Pacifichem2021
    • 国際学会
  • [学会発表] ジャスモン酸イソロイシンラクトンによるアルカロイド生産活性化2021

    • 著者名/発表者名
      齊藤里菜、 加治拓哉、 安部 洋、 山神壮平、 高岡洋輔、上田 実
    • 学会等名
      植物化学調節学会第56回大会
  • [学会発表] ジャスモン酸イソロイシンラクトンによる植物アルカロイド生産活性化2021

    • 著者名/発表者名
      齊藤里菜、 加治拓哉、 安部 洋、 山神壮平、 高岡洋輔、上田 実
    • 学会等名
      第63回天然有機化合物討論会
  • [学会発表] ジャスモン酸イソロイシンラクトンのトマトにおける生理活性評価2021

    • 著者名/発表者名
      齊藤里菜、加治拓哉、安部 洋、山神壮平、高岡洋輔、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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