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2020 年度 実施状況報告書

複雑な炭素骨格をもつ海洋産テルペノイドの生合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K15408
研究機関名古屋大学

研究代表者

森田 真布  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (30865184)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードソフトコーラル / 刺胞動物 / テルペノイド / 海洋天然物 / トランスクリプトーム
研究実績の概要

非造礁性のサンゴであるソフトコーラルは、複雑で多様な構造のテルペン化合物をもつことが知られており、細胞増殖活性や抗菌活性など、重要な生物活性を示すものも多く存在する。本研究では、ソフトコーラルにおけるジテルペン化合物の生産機構の解明を目指し、(a) サンゴ組織内における化合物の局在解析、(b) ジテルペン生合成に関与する遺伝子群の同定を目的としている。本年度は特に、微小管阻害剤として知られるジテルペン化合物に焦点を当て、化合物が蓄積される組織では生合成遺伝子群の発現レベルも高いという仮説に基づいて化学分析と遺伝子探索を実施した。ソフトコーラルの凍結切片のイメージング質量分析を検討した結果、ジテルペン化合物は部位ごとに分布差があることが分かった。現在は顕微鏡観察によるサンゴ組織の帰属に取り組んでいる。また、ジテルペン化合物を持つソフトコーラルについて、RNA-Seq解析と de novo トランスクリプトームアセンブリを行い、部位別の発現遺伝子情報を取得した。二次代謝に関与する遺伝子は多数見出されたものの、既知のテルペン環化酵素と相同性をもつ候補配列は現時点では検出されていない。ソフトコーラルは植物や糸状菌と類似したテルペン化合物をもつが、その骨格構築機構は既存のものとは異なる可能性が示唆される。それと同時に、技術的な面では、解析に用いた生物試料ではRNA分解が進行していたことから、低発現のトランスクリプトが網羅されていなかった可能性も否定できない。現在、試料のRNA安定化工程を改良し、次年度のトランスクリプトーム解析に向けて新たな生物試料を入手したところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新規に課題を開始した本年度は、海洋生物試料の調達や化学分析法の条件検討、遺伝子解析のプラットフォーム構築など、研究基盤の構築に時間がかかった。局在解析と遺伝子探索の二つの内容について、前者については順調に解析結果が得られているが、後者についてはサンプリング時のRNA分解など技術的な課題が残っているため、やや遅れていると評価した。次年度は、本年度に行った予備検討の結果を下敷きにして、実験条件の最適化と包括的な遺伝子解析を行うことが可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

トランスクリプトーム解析について次年度は、生物試料のサンプリング法を改良し、低発現遺伝子を網羅することを目指す。その上で、組織別発現量に差がある二次代謝関連遺伝子のスクリーニングを行う。またソフトコーラル以外の海洋無脊椎動物では、共生細菌による天然物の生合成が広く見られることを考慮し、ソフトコーラルの全メタゲノム解析も同時検討する。全メタゲノムとトランスクリプトームの情報を得ることで、より包括的な遺伝子探索が可能になる。ジテルペン化合物のイメージング質量分析については、化合物の分布を各組織にマッピングするための組織帰属を現在検討している。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、参加予定の学会がオンライン開催となり、旅費が発生しなかったため繰越金が生じた。次年度も化学分析と遺伝子解析を中心に研究を行う予定であり、繰越金を含めた予算を、次世代シーケンサーによる解析費用と試薬・物品等の消耗品に充てる予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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