研究課題
本研究では、前立腺がん細胞に選択的に取り込まれ局在化(凝集)することで非蛍光性(OFF)から蛍光性(ON)へとスイッチングするOFF/ON型蛍光プローブを開発し、前立腺がん細胞のリアルタイムイメージングの実現を目指した。一般的な蛍光プローブ(常に蛍光性である“always-ON型”)は、生細胞のリアルタイムイメージングの実施が困難な場合がある。その理由として、水系環境下で凝集し濃度消光することによる検出感度の低下や、細胞外に存在する蛍光プローブの洗浄操作を要することが挙げられる。この問題点を克服するため、本研究では分散状態では非蛍光性であるが凝集状態では蛍光性を示す凝集誘起発光(AIE, Aggregation-Induced Emission)という現象に着目した。当研究室で見出したAIE型色素部位(H-AAC)と、前立腺がん細胞に選択的に結合し細胞内への取り込みを誘発するリガンド部位(DUPA)を導入した蛍光プローブ分子を設計・合成することで、前立腺がん細胞に選択的に取り込まれて運動抑制されることで非蛍光性から蛍光性へとスイッチングするシステムの構築を検討した。これまでに、AIE型蛍光プローブ候補分子ライブラリの合成・物性評価を完了し、AIE特性を示す分子群を見いだすことに成功していた。最終年度である本年度は、共焦点レーザー顕微鏡による細胞イメージング実験をおこなった。その結果、洗浄操作をおこなうことなく前立腺がん細胞をリアルタイムイメージング可能なAIE型蛍光プローブ分子群を見出すことに成功した。現在、学術論文を執筆中である。本研究ならびに関連研究に関して得られた研究成果については、学術論文(ChemistrySelect誌)や、各種学会にて発表した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
ChemistrySelect
巻: 7 ページ: -
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Trends in Glycoscience and Glycotechnology
巻: 34 ページ: E65-E68
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