研究課題
モリブデン酵素は、様々な反応を触媒するユニークな酸化還元酵素であり、その反応の多様性から、幅広い分野に応用可能な酵素である。しかしながら、多くの場合、酵素精製が困難であり、また、大腸菌での発現が難しく、汎用的に使える遺伝子工学的基盤の構築が求められている。本研究では、「難発現性モリブデン酵素を活性型で異種発現できるシステムの構築」を行い、「モリブデン酵素の機能解析」へ応用することで、モリブデン酵素の学術的知見を広げる。さらには、環境分野(例 二酸化炭素還元)や、健康分野(例 腸内細菌代謝の解明)といった様々な分野へと展開していく。本年度は、異種発現の報告例がないモリブデン酵素遺伝子の異種発現を検討した。モリブデン酵素であるCellulosimicrobium funkei由来キサンチンオキシダーゼについては、活性発現に成功し、本酵素の諸性質解明について学術雑誌に報告した。それ以外の実施したClostridium由来アルデヒドデヒドロゲナーゼやMethylobacterium由来ギ酸デヒドロゲナーゼ等のモリブデン酵素については、異種発現には成功したが、活性を確認することはできなかった。また、低温発現、金属トランスポーターの共発現、Fe-Sクラスター合成に必要な化合物の添加など、活性発現条件検討も実施したが、いずれも活性は確認できなかった。次年度以降も、汎用的なモリブデン酵素異種発現基盤の構築に向け、活性発現に必要な条件を検討していく。
3: やや遅れている
計画通り、本年度実施予定のモリブデン酵素遺伝子の異種発現に成功した。モリブデン酵素であるCellulosimicrobium funkei由来キサンチンオキシダーゼについては、活性化発現に成功しており、本酵素の諸性質解明について学術雑誌に報告している。しかしながら、それ以外の実施したモリブデン酵素については、異種発現には成功したが、活性発現できておらず、活性発現条件検討も実施したが、いずれも活性は確認できなかった。モリブデン酵素遺伝子の活性発現の必要条件を見いだすには至っていないことから、やや遅れていると判断した。
SDS-PAGEで遺伝子発現が確認できているモリブデン酵素については、4Fe-4Sクラスターの合成に原因があると予想しており、4Fe-4Sクラスターの再構成について検討する。また、当初の予定通り、次年度異種発現する予定の酵素遺伝子については、引き続き異種発現系の構築と諸条件の検討を行う予定である。
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Electrochemistry
巻: 89 ページ: 25-30
10.5796/electrochemistry.20-00123
J Biosci Bioeng
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Journal of Applied Microbiology
10.1111/jam.14891