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2022 年度 実施状況報告書

新奇酵素反応による細菌のプロテオスタシス制御:我々とは異質な酸化ストレス適応戦略

研究課題

研究課題/領域番号 20K15446
研究機関兵庫県立工業技術センター

研究代表者

今井 岳志  兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (30785241)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードバイオフィルム / ペルオキシダーゼ / 酸化還元 / 抗酸化 / ヘム
研究実績の概要

本研究では各種の酸化ストレスに対して当該の酵素がどのような役割を果たすかを多角的に評価し、細菌の多様化に繋がった、我々とは異質な酸化ストレスへの適応戦略を明らかにすることを目指している.本研究計画は①酵素反応における当該酵素の諸性質解明、②オーソログの活性確認と破壊株作製、③破壊株においてタンパク質のアグリゲーションを定量、④進化生物学的な位置づけの解明、の4つの実施項目に分かれている.
今年度は特に①において当該酵素YjbIが活性中心に持つヘムがどのように持続的に抗酸化の役割を果たしているかという点に注目した.ヘムは大気中の酸素と結びつき、容易に周囲の分子を酸化するため、既知のヘムタンパク質を還元性の分子中に添加すると自動酸化が緩やかに進行する.そのため、同じくヘムタンパク質であるYjbIが自動酸化の性質を持っているならば、これまでに明らかにしてきた菌体表面の大気下で果たす抗酸化の役割と矛盾することになる.そこで、実際にいくつかの還元剤存在下でYjbIによる自動酸化を定量化してみた.その結果、他のヘムと比較して、YjbIが著しく自動酸化しづらいことが明らかとなった.これは、YjbIがこれまでに知られている典型的なヘムタンパク質に当てはまらない、特殊な仕組みを持つことやYjbIが生理機能として抗酸化反応を担っていることを裏付けるものとなった.機序の詳細は不明ではあるが、昨年度実施したポイントミューテーションの結果からその重要性が明らかとなった、活性中心付近のチロシン残基などの電子リッチな残基が、ヘム周辺に近づいた還元性の分子が酸化されることを防いでいる可能性がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目標に掲げる当該酵素の諸性質解明に関連して、当該酵素の特殊な性質が明らかとなったため.また、トップジャーナルの1つにここまでの研究成果をまとめた投稿論文がアクセプトされたため、客観的にも順調に研究計画が進展していると考えている.

今後の研究の推進方策

引き続き当該酵素による反応において未解明な、電子供与体の探索を試みる.

次年度使用額が生じた理由

年度最終月の購入予定物品の一部で見積もりに時間がかかったため、翌月での使用となり次年度使用額となった.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Group II truncated haemoglobin YjbI prevents reactive oxygen species-induced protein aggregation in Bacillus subtilis2022

    • 著者名/発表者名
      Imai Takeshi、Tobe Ryuta、Honda Koji、Tanaka Mai、Kawamoto Jun、Mihara Hisaaki
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 11 ページ: 1-21

    • DOI

      10.7554/eLife.70467

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 枯草菌の切断型ヘモグロビンYjbIによるタンパク質の酸化重合抑制2023

    • 著者名/発表者名
      今井岳志、戸部隆太、本田幸司、田中麻衣、川本純、三原久明
    • 学会等名
      日本農芸化学会

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公開日: 2023-12-25  

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