本研究では、まず各脂質のエステル型オキシリピン(OXL)を網羅的に解析できる方法を構築した。本法を用いてアルツハイマー病(AD)者やモデルマウスの脳の解析を行なった。その結果、AD後期の脳において中性脂質に結合したDHA由来のOXLが健常者と比較して優位に減少していることが明らかになった。一方で、AD初期の脳ではいくつかのリン脂質に結合したOXLが、認知機能低下に影響を与えていることが分かった。これらのことから、エステル型OXLがAD発症及び、その病態変化に重要であることが分かった。そこで、いくつかのエステル型OXLの標準品を有機合成し、さらにその分析法を構築し、実際の脳での分析を達成した。
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