研究課題
本研究は、食品成分SFaNがサルコペニア肥満を予防・改善する可能性を検討することを目的とし、①SFaNが転写因子SREBPを介して肝臓での脂質合成を抑制する作用機序の解明と、②SFaNが骨格筋の機能を改善する効果の検討、の2点に取り組んでいる。令和4年度は主に、この目的を達成するために設定した3つのテーマのうち、テーマ<1> SFaNがSREBPを介して脂質合成を低下させるメカニズムの解明と、テーマ<2> SFaNの新規結合分子の同定の総括に取り組むとともに、テーマ<3> SFaNの骨格筋への影響の検討について取り組んだ。テーマ<1>では、これまでSFaNにより活性化されることが報告されているKeap1-Nrf2経路を介さず、SFaNがユビキチン-プロテアソーム系を介して前駆体SREBPタンパク質を分解することで肝臓での脂質合成を抑制する新しい作用機序を明らかにし、論文にて発表した。また、SFaNによる抗肥満効果に腸内細菌叢が関わるかを検討する動物実験を実施した。その結果、高脂肪食とともにSFaNかつ抗生剤を与えたマウスでは、高脂肪食とSFaNを摂取させたマウスよりもSFaNによる体重抑制効果が増強した。現在、抗生剤で死滅もしくは減少する菌の中にSFaNの働きを阻害する菌がいると想定し、16Sメタゲノム解析などを通してその菌の特定を試みている。テーマ<2>では、SFaNを結合させた化合物ビーズと質量分析にて同定した複数の新規結合タンパク質の機能的な解析を進め、そのうち1つのタンパク質に注目し、現在論文として発表すべくその結果をまとめている。テーマ<3>では、SFaNをC2C12細胞の培養液に加えて培養したところ、SFaNが筋分化を抑制することが分かった。現在、筋萎縮を起こす様々な条件でのSFaNの筋萎縮抑制効果を検討している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
scientific reports
巻: 12 ページ: 8715
10.1038/s41598-022-12347-6