研究課題
機能性食品としての緑茶に注目し、緑茶の摂取による腸菌叢に対する影響を、マウスを用いて調査したところ、ヒト腸内常在細菌でもある、カテキン代謝細菌Flavonifractor plautii(FP株)が、腸内で増加することを見出した。次に、FP株をOVAで感作したアレルギーモデルマウスに経口投与すると、血中のOVA特異的IgE量が有意に低下することを発見し、腸管関連リンパ組織(MLN)のFP株の存在を確認したところFP株が検出された。さらに、MLNの樹状細胞(DC)をFP株とともに24時間培養したところ、制御性T細胞(Treg)を誘導するCD103陽性DCが誘導された。さらに、ナイーブTh細胞とDCを共培養し、FP株を添加したところ、Treg割合が有意に増加した。以上の結果から、FP株はCD103陽性DCの増加を介して、Tregの分化を誘導することが示唆された。これらの結果は学術論文として発表した。また、FP株が過剰な免疫応答を抑えることに着目して、生体調節機能の評価を行い、大腸炎モデルマウスの腸炎軽減効果や、食餌誘導性肥満マウスの脂肪組織炎症軽減効果についても明らかにし、学術論文として発表した。申請者は、マウス腸炎モデルに対して、乳酸菌が、M細胞の存在する小腸パイエル板から取り込まれ、炎症が軽減されることを明らかにしている。すなわち、M細胞を介する有用細菌の取り込みは、宿主における炎症を制御できることを証明している。そこで今年度はM細胞に着目し、FP株の取り込み機構の解明に取り組む。
4: 遅れている
自身の疾病により研究遂行が難しかったため。
病状が回復に向かっているため、研究の前進に全力を尽くして参ります。
昨年中旬から体調を崩し、計画通りの研究の遂行が困難であったため、次年度使用額が生じた。昨年度実施できなかった課題を遂行するとともに、今年度の研究課題についても並行して遂行する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-04/su-dgt040820.php