研究実績の概要 |
果物由来の果糖(Fru)、工業的に生成される異性化糖(HFCS)、ゼロカロリーの甘味料(ASP)が、通常の糖であるブドウ糖(Glu)と比較してどのような健康被害をもたらすかを、臨床症例に負荷試験を行う。介入前後における通常の脂質異常や耐糖能障害における各種パラメーターを経時的に測定し、さらに血液検体によるコレステロール引き抜き能をはじめとするHDL機能の動脈硬化抑制作用の変化を検討した。ブドウ糖(Glu)(28人)、果糖(Fru)(28人)、異性化糖(HFCS)(28人)を用いる3群に加え、ゼロカロリー甘味料(ASP)(23人)を用いるコントロール群を設定。これらの合成糖・甘味料を1日3回飲料に混ぜて2週間摂取した。介入前後におけるHDL-C、LDL-C、TG、各種アポ蛋白などの脂質プロファイルの変化と介入群の差異を検討した。その結果、コントロール群(ASP)を基礎値として、コレステロール引き抜き能がFru群で一番低下しており、HFCS群、Glu群と続いた(Fru:-3.1±0.5%, HFCS:-2.6±0.3%, Glu:-1.5±0.4%, ASP:-0.9±1.7%)。また、すべてのサンプルにおいて、コレステロール引き抜き能の低下率と尿酸値の関係をみるとR=-0.27でP=0.006と有意な逆相関関係が確認された。これらにより、果糖、異性化糖、ブドウ糖の順に動脈硬化抑制作用を低下させることが判明し、尿酸値が高いほどその影響を及ぼしているという関連が確認された。
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