研究課題/領域番号 |
20K15482
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
舘花 春佳 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (30805809)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | リンゴ / ビタミンC / SVCT1 |
研究実績の概要 |
本研究ではリンゴ果汁中の特定の成分が、小腸のビタミンCトランスポーターを発現させ、体内保持に寄与するという仮説のもとメカニズム解明と関与成分の探索を行うこととした。これまでにラット小腸ならびに培養細胞におけるビタミンC取り込み増強作用が示されたことから、昨年度から今年度にかけてビタミンCトランスポーター発現への関与について検討を行った。 リンゴ(ふじ)を市販ジューサーで搾汁し、リンゴ果汁を得た。リンゴ果汁(0~100%)とAsA(0.01~1 mM)の存在下でヒト腸管小腸モデル培養細胞Caco-2を専用インサートにて培養(~24時間)した。SVCT1タンパク質の発現量は、当初予定の通り培養後の細胞から総タンパク質を抽出し測定したところ明瞭な結果が得られなかったため、膜タンパク質であるSVCT1が多く含まれる細胞膜画分を抽出し、ウエスタンブロットにより測定することとした。その結果、リンゴ果汁添加により細胞傷害性を示すことなく比較的高濃度(~1 mM)AsAの細胞内取り込み量が有意に増加することが明らかとなった。また、コントロール(AsA溶液単独添加)に対し、リンゴ果汁の添加によりSVCT1発現量が有意に増加することが示された。さらに、リンゴ果汁添加後のSVCT1発現の継時変化をモニターしたところ、リンゴ果汁の添加後15分という短時間でSVCT1発現量が増加することが明らかとなった。本研究より、ラット、培養細胞のいずれにおいてもリンゴ果汁により輸送体であるSVCT1の発現が増強し、結果としてビタミンC吸収量が促進されたという新規知見が得られた。 以上の結果を、今年度は英論文としてまとめ、公表に向け準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画であるリンゴ果汁を投与したラットの血中・臓器中ビタミンC濃度の体内動態および培養細胞におけるビタミンC吸収メカニズムについてはすでに十分にデータを得ることが出来ている。ここまでの成果について現在原著論文としてまとめており、国際誌に投稿予定である。以上より、進捗状況をおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
現在研究成果を論文として執筆中であり、年度内の掲載を目指す。必要に応じ追試験や結果の精査を実施する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表について、今年度中に論文投稿まで至らなかった。そのため、論文投稿費用として次年度使用額が生じた。
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