研究実績の概要 |
(+)-CatechinなどのFlavan 3-ol化合物が重合した構造を持つプロアントシアニジン(PAC)はそのイオン化効率の低さからHPLC-MSなどの機器分析における検出感度が極めて低いため、食品中や血中のPACの定量は困難な場合が多い。昨年度までにHPLC-MS等におけるPACの検出感度の向上を狙って4-Dimethylaminocinnamaldehyde や5-(4,6-Dichlorotriaznyl)aminofluoresceinによるPACの誘導体化を試みたが、有効な検出法の手がかりを得ることができなかった。そこで、PACが血中タンパク質と複合体化することに着目し、電気泳動法により血中タンパク質とPACの複合体を検出することでより高感度なPACの検出が可能ではないかと考えた。ヒトの血中主要タンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA)と(+)-Catechin, (-)-Epigallocatechin gallate, Procyanidin B2およびピーナッツ種皮由来PAC6量体(PAC hexamer)をそれぞれ混和し、インキュベート(pH 7, 37℃, 24 h)した。これらをNative PAGEに供し、ポリフェノール結合タンパク質に特異性のあるNitroblue tetrazolium (NBT)染色を行った。その結果、いずれのサンプルにおいてもHSAとの複合体らしきバンドを検出した。また、PAC hexamerにおいては原点に停滞する複合体のバンドが見られたため、より高分子タンパクの分離が可能なアガロースゲル電気泳動に供したところ、原点からのバンドの移動を確認した。以上からNative PAGEおよびアガロースゲル電気泳動後にNBT染色を行うことでPACと血中タンパク質の複合体を検出する条件を見出すことができた。
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