研究実績の概要 |
LEF-1による上皮-間葉転換(EMT)に関して、β-カテニンが必要ない事が証明された。LEF-1がβ-カテニンとは違う分子と結合し、EMTを引き起こしていると考え、LEF-1の新規結合相手の探索を行った。 LEF-1過剰発現細胞を用いて、LEF-1との結合が報告されているSmad分子をターゲットに免疫沈降を行った。Smad2, Smad3, Smad4抗体を用いて検討したが、どれもLEF-1との共沈が認められなかった。一過性にLEF-1及びSmad分子群を過剰発現させた系でも、LEF-1とSmadとの共沈は認められなかった。免疫沈降ではバッファーの影響が大きいため、結合が切れてしまう可能性が考えられた。そのため、CRISPR/Cas9法を用いて、Smadノックアウト細胞を作製している。Smad2, Smad3, Smad4の配列をデータベースより得て、PAM配列を翻訳開始以降で設定し、PAM配列上流20塩基をノックアウト部位とした。pCG-SapⅠノックアウトベクターにノックアウト配列をクローニングし、ノックアウトベクターを抽出した。シークエンス解析後、LEF-1発現細胞にノックアウトベクターを遺伝子導入し、LEF-1発現・Smadノックアウト細胞の作製を行っている。現在までにSmad遺伝子がノックアウトされているかは確認できていないが、表現型が変化しているクローンは得られていない状況である。
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