研究課題/領域番号 |
20K15499
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小林 和香子 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30735337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LEF-1 / EMT / Wntシグナル / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
LEF-1による上皮-間葉転換(EMT)に関して、β-カテニンが必要ない事が証明された。LEF-1がβ-カテニンとは違う分子と結合し、EMTを引き起こしていると考え、LEF-1のEMT誘導境界領域の探索とLEF-1の新規結合相手の探索を行った。 EMT誘導境界領域の探索は、様々なLEF-1変異体を作製し、EMT研究で用いられているイヌ腎臓尿細管由来のMDCK細胞に導入することで安定発現株を作製した。Western blotや蛍光免疫染色によるEMTマーカー解析の結果、LEF-1のEMT誘導領域の同定ができた。N末端側を欠損させた変異体を8つ作製し、EMT誘導において重要な部分がLEF-1のaa 198-211番目であることを突き止めた。EMTを誘導した細胞株は、EMTを誘導しない細胞株に比べ、遊走能、浸潤能も更新していた。 LEF-1の新規結合相手の探索に関しては、LEF-1との結合が報告されているSmad分子を第一候補のターゲットとした。EMTを誘導することが可能な変異体と、EMTを誘導しない変異体を用いて、一過性発現のLEF-1とSmadの結合を免疫沈降により確認した。しかし、バッファーの塩濃度等条件の難しさから結合を確認することができなかった。 現在は、EMTを誘導するLEF-1変異体発現細胞と、EMTを誘導しないLEF-1変異体発現細胞を比較し、LEF-1による免疫沈降を行っている。その後、銀染色によりLEF-1と結合するバンドがえられるか条件検討中である。EMTを誘導するLEF-1変異体と結合する分子のバンドが得られた際は、質量分析を行い、LEF-1結合相手の同定を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LEF-1の新規結合相手の探索に関しては苦戦を強いられているが、LEF-1のEMT誘導境界領域の探索は同定が完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
LEF-1の新規結合相手の探索を中心に研究を行っていく。EMTを誘導するLEF-1変異体発現細胞と、EMTを誘導しないLEF-1変異体発現細胞を用いて、LEF-1による免疫沈降を行う。銀染色後に、脱銀、ペプチド消化等を行い、質量分析にかける予定である。質量分析は本校で行うことができないため、徳島大学の質量分析(外注)を行う予定である。
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