日本全国に分布する野生グリを収集し、栽培グリとともに遺伝的構造解析を行なった。九州の野生グリはその他の地域の野生グリから遺伝的に大きく離れていることが明らかになった。さらに、本州の野生グリは西日本と関東地方と東北で緩やかに遺伝的に分かれた。関東では品種と野生グリの双方向で遺伝子流動が認められたが、丹波地方(関西)では栽培グリから野生グリのみの遺伝子流動が検出された。関東の栽培グリは野生グリから比較的少ない世代で栽培化されたのに対し,丹波地方の栽培グリは複数の地域からの持ち込みや複数回の人為選抜等、複雑な栽培化過程が考えられた。
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