研究実績の概要 |
エリサンとシンジュサンを交配して得たF1世代をさらにエリサンに対して戻し交配することで, 本研究課題の目的である「産卵様式を制御する遺伝子」の同定を試みた. 最終年度である2022年度までにポジショナルクローニングを終え, 候補となる遺伝子を絞り込むことができた. また, シンジュサンは交配および飼育が難しく, ゲノム編集のレシピエントとして難があるため, シンジュサンのZ染色体をホモに持つ(シンジュサン型産卵様式の責任染色体はZ染色体であることが明らかになっている)紺ソミック系統を作成した. 現在, この系統をレシピエントとして, 候補となる遺伝子のノックアウトをおこなっている最中である. また, エリサンとシンジュサンを用いた遺伝学実験をおこなうにあたり, 両種, とくに全ての基本となるエリサンのゲノム情報の整備をおこなってきた. エリサンのドラフトゲノム配列は, 2021年に発表したが(Lee et al., 2021), 染色体レベルとは言い難いクオリティであったため, 今年度までにOptical genome mappingによるscaffoldingをおこなった. エリサンゲノムにおいては, 第11染色体上にNucleus Organizer Region(NOR)が存在しており, 当該領域では配列が高度に反復しているため, De novo assemblyおよびscaffoldingの妨げとなっていた. Optical genome mappingによるscaffoldingも, 1酵素による標識では第11染色体を1本の配列に接続することはできず, 複数の標識酵素を用いてデータ取得し, 最終的にDLE-1とNt.BspQIによる2-Enzyme Hybrid Scaffoldingによってようやく1本に接続することができた.
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