鱗翅目昆虫であるカイコは、核を保持し卵との受精に用いられる「有核精子」に加えて、核を持たない「無核精子」を形成する。本研究では、非常にユニークなカイコ精子の特徴を捉えるために、遺伝子発現や精核の形態学的特徴などに着目し調査を行った。 本研究の主要な成果として以下の三つがあげられる。1)比較トランスクリプトームデータの解析によって、無核精子特異的に発現する遺伝子が複数得られた。2)遺伝子組換えカイコ作出に必要な「集中産卵操作」における受精率の向上につながった。3)カイコ卵内における精子核の観察手法を確立し、受精前後における精子核の形態的な変化について明らかにした。
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